高品質だけを強調して売れる時代は終わった--ハリス・ダイアモンド ウェーバー・シャンドウィックCEO

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かつては日本企業であるということ、日本製であることが重視されたが今は違う。品質がいいのは当たり前で、それを前提にどうやってブランドを構築するかを考えないといけない。国がどこであろうが、いいアイデアを出す企業、それを具現化できた企業の商品が売れる時代になった。いいものを作る国が増えたからこそ、努力を惜しまずに時間をかけて自分のブランドはこういうものだと伝えることを怠ってはいけない。

トヨタ自動車のリコールの一件で、いかにブランドを守ることが経営陣の責務なのか、という非常に大事な教訓を皆が得たと思う。これまではブランドやPRは経営における優先付けが高くなかったかもしれないが、ブランドを守ることがCEO直結の業務になりつつある。多くのアメリカの企業がCEO直轄の部署にしているところが増えている。

トヨタとBPは同じ過ちを犯した

--リコール問題におけるトヨタの対応や原油流出事故を起こしたBPの対応をどう見ていますか。

不適切であったと思う。ああいう事態が発生しているときはどう行動したとしても限界があるが、それでもやれるべきことはあったと思う。むしろ重視しなければならないのは、その事態が発生しているときに何をしたかではなく、その後の対応だ。長期的な評判の再構築のために彼らが何をやっているのかという点が大事になる。ただトヨタに関して言えば、問題がいったん明るみに出てからの彼らの対応には感心した。

--両社の対応のどこに問題があったのでしょうか。

実は2社とも”理解不足”という共通の過ちを犯した。何に対する理解不足かというと事態が起きたことは置いておいて、そこに至るまでの根本の問題は何だったのか、初期の段階で理解を徹底的にしようとしなかったことだと思う。

どの企業でもやってしまいがちだが、問題の根本的な原因がたいしたことがないとして小さいものにしてしまおうというのが過ちだ。トヨタだと(問題が発覚した)カリフォルニアの中にとどめられるだろうと思っていたら、瞬く間に全米に広がった。

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