「SIMフリー義務化」でもMVNOを阻む3要因 競争環境の推進は限定的になりそう

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2つめは、今年7月から各社がスタートした通話定額制の存在だ。

現在、キャリア3社は横並びで通話定額料として2700円を打ち出している。この結果、通話利用が多いユーザーの場合、MVNOよりもキャリアと契約した方が安いという結果になっている。

「月5000~6000円の通話利用者の場合は、MVNOとの契約よりも、キャリアとの契約の方が安い。これは、2700円の通話定額料金と同じ価格設定では、MVNOには回線が卸されていないのが理由。日本通信では、今年7月にNTTドコモに音声網の相互接続申し入れを行い、格安通話定額の実現に取り組んでいく」と説明する。

音声利用が多いユーザーにとって、MVNO契約のメリットがないようでは、やはりSIMロック解除の効果は限定的と言わざるを得ない。

キャリアのようなサポートができない

そして、3つめには、MVNOにはキャリア各社のような直営ショップがなく、安心で信頼できるサポートが提供できないという点だ。

自分でSIMカードを入れ替えるというのは、一般ユーザーにとっては、まだ慣れない作業だといえる。そのため、疑問点などについては、直接店舗で聞くことができる環境があるのが最適だろう。キャリア側では全国規模で直営店を展開。サポート体制において、MVNOとの差は歴然だ。

この課題の解決には、MVNO側の努力が必要だろうが、市場構成比がわずか1%という状況では、そこまでの投資ができないのも実状だ。

日本通信の場合、10月1日からiPhone SIMフリーコールセンターを開設し、電話サポートを通じて、iPhoneにおける日本通信のSIMカード利用に対する不安を解決することに取り組んでおり、「iPhone SIMフリーコールセンターは約1カ月を経過したが、いい反応がある」という。

日本通信の福田尚久副社長は「この3つの課題が解決されない限り、SIMロック解除が義務化されても、MVNOは広がらない」と繰り返し指摘する。

日本通信の言い分は、説得力のあるものだ。キャリア間の移行が促進されるだけでは、SIMロック解除の義務化による競争促進効果は限定的なものに止まる可能性がありそうだ。

大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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