三菱自動車、好決算に潜む誤算と課題 年間の販売計画を約10万台下方修正
相川哲郎社長は国内不振の理由について、「軽自動車とプラグインハイブリッド車『アウトランダーPHEV』の見通しが甘かった」と述べた。特に下方修正幅が大きいのが軽自動車だ。昨年度に発売した「ekワゴン」と「ekスペース」が通期で売り上げに寄与すると見込んでいたが、「受注が想定したほどになっていない」(相川社長)という。
全国軽自動車協会連合会の上半期(14年4~9月)の統計によると、三菱の「ek」シリーズは前年同期比約2%減。一方で、合弁会社で軽自動車を共同開発している日産自動車の「デイズ」は6割も増えた。中身はほぼ同じ車でも、国内における販売力に大きな差があるようだ。
PHEVをどう訴求するか
軽自動車とともに「見通しが甘かった」というアウトランダーPHEVに関しては、「通常のハイブリッドと(プラグインハイブリッド車は)何が違うのか、という声が聞かれる。新しい機能を認知していただく難しさを感じている」と、相川社長は販売における課題を率直に述べた。
充電したモーターだけで走る電気自動車としても、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車としても使えるのがプラグインハイブリッド車の特徴といえる。三菱では無料試乗の取り組みで走行性能をアピールし、ほかのメーカーから新規顧客を呼び込みたいとしている。
中間期と同様、通年でも増収増益を達成する見通しだが、タイ市場の停滞や国内販売の不振など楽観できない状況が続く。「今年度は再建を果たしてから最初の年。成長を急ぎすぎると必ずひずみが出る。リスク要因をすべて洗いだし、外部環境への適応力を高めたい」と気を引き締める益子会長。持続的な成長を果たすために、過去の失敗から学び、地道な取り組みを積み重ねるほかないということだろう。
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