三菱自動車、好決算に潜む誤算と課題 年間の販売計画を約10万台下方修正

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10月29日の決算会見で説明する益子会長。写真左は今年から社長を務める相川哲郎氏(撮影:今井康一)

折り返し地点は増収増益を達成したが、「誤算」と「課題」も見えた決算だった。三菱自動車は10月29日の中間決算発表にあわせて、小売台数の年間計画を従来の118万2000台から108万9000台に下方修正し、通期の連結売上高も2兆1800億円(前年同期比4%増)と当初計画から1200億円引き下げることを発表した。ただし、為替の好転とコスト低減が想定以上に進んでいるため、営業利益は1350億円(同9%増)と期初の計画を据え置いた。

誤算があったのは、年産50万台と三菱が最大の生産拠点を持つ主力のタイ市場だ。「景気回復がもう少し早いと思っていたが、見誤った」。同社の益子修会長は険しい表情で語った。今年度の販売台計画は、前期比約2割増の10万1500台だったが、今回は一転して15%減となる7万2000台と大幅な下方修正を余儀なくされた。

タイ市場は需要を”先食い”

2012年に自動車購入補助金が終了して以降、タイ市場は政情不安も重なり、低迷が続いている。「(補助金は)需要を2年ほど先食いした。13、14年度は調整局面と考えざるを得ない。年明けからは少しずつ回復するとみている」(益子会長)。三菱は、11月にピックアップトラック「トライトン」の9年ぶりの新型車をタイで発売する。需要を刺激し、何とか挽回につなげたい考えだ。

 そして、課題は日本国内の販売だ。上半期の実績は前年同期比14%減の5万7000台と計画した7万台を大きく下回った。これを受けて、期初に約3%増の14万7000台を見込んでいた販売計画を、23%減の11万台と一転して前年割れとなる見通しに変えた。地域別業績数値としても、日本事業の営業利益は従来の黒字予想から赤字に転落する見通しだ。

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