レアアース問題の急所、白熱する日中「ハイテク磁石」戦争

尖閣諸島問題を契機とした中国による禁輸騒動は、日本のモノ作りに必要なレアアースを中国1国に依存する怖さをあらためて浮き彫りにした。中国が持つ“武器”の威力と、そのしたたかな狙いとは--。

「レアアース(希土類)がどの部品にどれだけ使われているかを詳細に調べて、1週間以内に報告してほしい」--。トヨタ自動車は9月中旬、取引先各社に緊急調査を要請した。直後にはホンダも同様の調査を開始。自動車メーカーから命を受けた納入企業の調達担当者らは、下請け、孫請けなどからも詳細な情報を集めるなど対応に追われた。

レアアースとは、ネオジム、セリウム、ランタンなど流通量の少ない17種類の鉱物の総称。金属に混ぜると強度、耐熱性など素材の性能を高める効果があり、添加物として使われるケースが多い。モーターに必須の永久磁石をはじめ、液晶基板用ガラスの研磨剤、光学レンズ、UV加工ガラス、排ガス浄化用触媒など幅広い用途で使用され、日本のモノ作りに欠かせない。

きっかけとなったのは日中関係の緊張だ。レアアースは、その世界生産量(2009年は13.3万トン)の97%を中国が占める。埋蔵自体は必ずしも中国に限らないが、1990年代半ばから中国が安値で輸出攻勢を仕掛けたため、米国など他の生産国は鉱山の操業を停止・縮小。

この結果、90年代後半以降は中国が実質的に唯一の生産国となり、世界2位の需要国である日本も消費量(年3.5万トン前後)のほとんどを同国からの輸入に頼っている。

しかし、その中国は近年、レアアースの輸出規制を強めているうえ、9月7日に起きた尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で日中関係は急速に悪化。こうした状況に自動車メーカーは危機感を募らせた。なにしろ、自動車の総部品点数は2万~4万と膨大だ。中国からのレアアース調達が滞るようなことになれば、予想外のところで生産に重大な支障が出る可能性がある。

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