NYで築109年の家が50億円で売れた! 億ション売れまくるNY住宅市場の狂乱

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One57は90階建てと住居棟としてはマンハッタン随一の高さを誇る。もっとも価格の高いペントハウスは約95億円だ

販売を手掛けるブラウン・ハリス・スティーブンズのポーラ・ヌンツィオ氏はいう。「マンハッタンは小さな島で土地が限られている一方、世界中から不動産の買い手が集まってくる。

しかも、ニューヨークの場合、ほとんどが賃貸物件で売買用物件は全体の約35%、数でいうと14000件程度しかない。そのほとんどがマンションでこうした一戸建ては非常に珍しいだけに人気が高い」。

一方、富裕層の「交通手段」として人気の高いプライベートジェットの需要も上向いてきている。資産家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ傘下のネットジェッツでは、需要がピークに達した07年レベルまでに戻ってきていることもあって、目下176億ドルを投じて航空機の新規購入(最大670機の購入を予定)を急いでいる。

同社の場合、自らが1台保有するだけでなく、特定の航空機を部分保有したり、飛行時間に応じた乗り放題カード(最も安くて25時間で14万ドル=約1470万円)を利用したりもできる。「多くの企業が世界へ事業を拡大させている中で、われわれの利用者である企業幹部の多くは数日内にニューヨーク、ロンドン、香港といった距離を移動しなければならない。利用者の多くはネットジェッツのフレキシビリティに価値を見出している」(同社広報)。

不動産高騰で既存住民への嫌がらせが多発

ニューヨークではマイケル・ブルームバーグ前市長の就任時に街を「高級化(Gentrification)」する計画が進んだ。これにより、街の清掃が徹底され、警察が増えたことで治安が良くなったことで街の「価値」自体は向上した。が、街の高級化によって分譲、賃貸不動産価格が高騰した結果、既存住民が住居を追われる例も増えている。

たとえば、あるアパートメントでは、“市場価格”で入居してきた新規住民とは別に、レントコントロール(毎年家賃を一定以上値上げしない規制)で住んでいる既存住民用に通称「貧者のドア」と呼ばれる入り口を作ったり、立ち退きに応じない住民の住居部分をのぞいてリノベーションを行ったりという嫌がらせをする例もある。中にはアパートメントの大家が既存住民の家のカギを勝手に変えるといったケースもあるようだ。ニューヨークの不動産事情に詳しいある地元新聞記者によると、「こうした嫌がらせや立ち退きをめぐって、街中で訴訟が起きている状態」という。

世界中から富や人が集まるニューヨークはまた、「持つ者」と「持たざる者」の格差が大きい街としても知られてきた。が、今やその格差は超富裕層と一般的な中間層の差になっているのである。

週刊東洋経済2014年11月1日号(10月27日発売)の特集は「アメリカ 分裂する大国」です。オバマ大統領誕生の熱狂から6年。再び岐路に立つ米国。国中から聞こえる不協和音を奏でながら「強いアメリカ」はどこへ向かうのか。全60ページで取り上げました。
倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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