「フィット」5度目のリコール、ホンダの失態 品質管理に問題、新車投入に遅れ

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昨年の発表会に登壇した伊東社長。相次ぐリコールで品質管理が喫緊の課題

ただこれまでのところ、リコールを起こしたフィットやヴェゼルの販売に大きな影響は出ていない。直近の9月でも、新車の販売台数でフィットは2位、ヴェゼルは5位に入っている。むしろ、今後懸念されるのが、新型車投入の遅れだ。

今年度、国内向けの新型車は、過去最多の6車種の投入を予定しているが、これまでに1つも実現できていない。ホンダは1024日、高級セダン「レジェンド」の新型車を年内に発売することを明らかにしたが、新型車の投入はヴェゼル以来、ほぼ1年ぶりとなり、投入計画は大幅に遅れていると言わざるをえない。開発部門のトップである本田技術研究所の山本芳春社長は、「(品質保証体制の強化が)開発時間に影響するかもしれないが、技術の確からしさを最優先にする」として、一連のリコール問題を受けて、新型車の投入を慎重に進めていることを認めている。

今年度の国内販売は、過去最高となる103万台(前期比約2割増)を目標に掲げている。新型車種の投入効果や軽自動車の好調な販売が持続することで、消費増税後の落ち込みも補って、通期ベースでは前期よりも販売数量を増やせるという見立てだった。

注目の決算は10月28日

しかし、今年度の上半期(4~9月)の販売台数は38万台にとどまっている。こうした状況を受けて、10月から11月にかけて、ミニバンやセダンなどを生産する埼玉県の2つの工場で、減産を実施している。新型車の投入が遅れると減産が長引く可能性もあり、過去最高となる販売目標の達成は厳しくなってくる。

第1四半期(4~6月)決算では、4輪で主力のアジア、北米市場が堅調に推移し、増収増益を達成した。為替が会社計画の前提(第1四半期時点で1ドル101円を想定)より円安に振れていることもプラス材料になっている。海外での現地生産に軸足を置いているとはいえ、トヨタ自動車に次ぐシェアを持つホンダの国内販売がもたつけば、系列部品メーカーやディーラーにも影響が及ぶ。度重なるリコールの影響で販売目標の引き下げに追い込まれるのか。10月28日に予定する中間決算発表が注目される。

(撮影:梅谷秀司)
 

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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