《プロに聞く!人事労務Q&A》海外で勤務する社員の労災保険給付について教えてください。
■海外派遣者の特別加入制度
労災保険は、国内にある会社に適用され、その会社に就労する労働者が給付の対象となります。転勤命令等により海外の会社に派遣され、海外の会社で就労するかぎり、労災保険の給付の対象とはなりません。
通常、海外派遣者は派遣先国の災害補償制度の対象となりますが、外国の制度が充実されていない場合もあることから、海外派遣者に対しても労災保険の給付が受けられるよう海外派遣者の特別制度があります。
<海外派遣者として特別加入できる範囲>
○日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携企業など海外で行われる事業に従事する労働者
○日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて、海外にある次の表に定める数以下の労働者を常時使用する事業に従事する代表者役員等の者
○独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣され、開発途上地域で行われている事業に従事する者
■給付基礎日額と保険料
○給付基礎日額は
給付基礎日額(3,500円~20,000円)は、労災保険の給付額を算定する基礎となりますので、特別加入者の所得水準に見合った額を申請して労働局長の承認を得ます。
○保険料は
特別加入の保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365日)に保険料率(一律4/1000)を乗じたものとなります。
■補償対象の範囲
○労働者として海外派遣される者
国内の労働者と同様に、業務災害または通勤災害を被った場合に、労災保険から給付が行われます。
○中小事業の代表者役員等として海外派遣される者
・業務災害の保険給付の対象は、一定の業務を行った場合に限られますので、ご注意ください。
・通勤災害は、国内の労働者と同様に取り扱われます。
東京都社会保険労務士会所属。1985年に雇用システム研究所を設立。企業の労務管理、人事制度設計のコンサルティングを行う一方で、社員・パートの雇用管理に関する講演も行っている。東京地方労働審議会臨時委員、仕事と生活の調和推進会議委員。著書に『パート・高齢者・非正社員の処遇のしくみ』(共著)。
(東洋経済HRオンライン編集部)
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