190㎝"小柄"なNBA選手が「歴代最高」になった訳 ノイズを無視して重要なことに集中するには?

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クエーカー(平和主義で知られるキリスト教プロテスタントの一派)では、人の悩みに耳を傾けるための「クリアネス委員会」を実践している。

そのやり方は、以下のとおりだ。

大きな悩みに直面した人(フォーカス・パーソン)は、信頼できる数人の仲間に声をかけ、会合を開いてほしいと申請する。委員会のメンバーはエルダーズと呼ばれる少数精鋭の人からなり、彼らは他人をジャッジしたり、意見を押しつけたりしない。あくまでも本人が答えを出す手助けをするのが目的だ。

委員会ではまず、フォーカス・パーソンが自身の問題について話をする。ほかのメンバーは静かに耳を傾ける。

それからメンバーは、フォーカス・パーソンに「誠実な質問」をする。あくまでも話の内容に関する質問であり、答えを誘導するような質問をしてはならない。また、話の内容を繰り返し確認してもよいが、意見やアドバイスは禁止だ。

クリアネス委員会に詳しいパーカー・パーマーは、そうした傾聴の目的を次のように説明する。

「人は誰でも、自分の中に内なる教師を持っています。この真実の声が、問題に対処するために必要な導きと力を与えてくれるのです」

意見や判断を抜きにして、じっと耳を傾ける。そうすることで、相手は内なる心の声を聞き、問題に自分なりの答えを出すことができるのだ。

私たちが他人に差し出せる最善のものは、スキルでもお金でもない。ただそこに「いる」ことだ。

もちろん注意力のリソースには限界があるため、つねに何にでも全力で関心を持てるわけではない。だがエフォートレスな精神を身につければ、本当に大事な人やものごとに全力で集中することが可能になる。

おすすめの5つの日課

どうすればエフォートレスな精神を自分のものにできるか?

私のおすすめは、次の5つを日課にすることだ。

『エフォートレス思考』(かんき出版)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

1 場を準備する
まず、静かな場所を見つける。携帯の電源を切り、周囲の人に10分間ひとりになりたいと伝えよう。

2 体の力を抜く
背筋を伸ばして、楽な姿勢で座る。目を閉じ、肩を回す。顔を右と左にゆっくりと動かす。全身の力を抜き、自然に呼吸する。

3 頭を落ち着ける
いろいろな考えが頭に浮かぶのは自然なことだ。無理に考えを抑えようとせず、自然に考えがやってきて、去っていくのを感じよう。

4 心を解放する
嫌な人のことが頭に浮かんだら、「許します」とつぶやき、その相手と自分をつないでいた鎖を心の中で断ち切る。

5 感謝の呼吸
過去に感謝を感じたときのことを思いだす。五感を使って、あたかも今それを再体験しているかのようにイメージしてみる。あなたはどこにいて、何を感じ、誰と一緒にいるだろうか。深く息を吸いながら、感謝を全身に取り込もう。

グレッグ・マキューン THIS Inc. CEO

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シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEO。エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆を行い、アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、セールスフォース・ドットコム、シマンテックなどの有名企業にアドバイスをしている。

ハーバード・ビジネス・レビューおよびリンクトイン・インフルエンサーの人気ブロガー。スタンフォード大学でDesigning Life, Essentiallyクラスを開講。2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。著書の『エッセンシャル思考』(かんき出版)は全米でも日本でもベストセラーに。

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