190㎝"小柄"なNBA選手が「歴代最高」になった訳 ノイズを無視して重要なことに集中するには?

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エフォートレスな精神とは、大量の情報やノイズの中にありながら、今やるべきことに対する注意と集中を失わない状態だ。

これを手に入れれば、世界が変わる。重要なことをピンポイントで把握し、以前は気づかなかった解決策をクリアに見抜くことが可能になる。

ただ、そこに「いる」ことの力

年配の医師が診察室に入ってきたとき、17歳のロナルド・エプスタイン(ニューヨーク州ロチェスターにあるロチェスター大学医学部歯科学科の家庭医学、精神医学、腫瘍学の教授)は胸が締めつけられるような不安を感じていた。診察の内容自体は、とくになんでもないものだった。診断にも治療方針にも変わったところはなく、診察は思ったよりも早く終了した。

だがひとつ、忘れられないことが起こった。その医師は、不安な様子の少年に向き合い、その日はほかの予定がないかのように、じっと少年の話に耳を傾けてくれたのだ。

その夜、エプスタインは何か大きな変化が起こったような気持ちで眠りについた。

その気持ちは、2週間経って体が元気に戻っても、ずっと心にとどまっていた。高校の進路指導でありふれた質問に答えているときにも、心にとどまっていた。大学に出願するための小論文を書いているときにも、心にとどまっていた。重い本の詰まったバックパックを背負って大学のキャンパスを歩いているあいだも、心にとどまっていた。

あの体験は自分の使命なのだ、と彼は感じた。僕もあの医師のように、病気の人たちを助けたい。

たった一度の医師との出会いが、少年の進む道を変えた。医師の深いやさしさ、落ち着き、ひたすら真摯に向き合ってくれた姿勢──それらは何年も経った今も、彼の心の支えでありつづけている。

なぜ、その一瞬が、人生を変えるほどの力を持ち得たのだろうか。なぜ、じっと耳を傾けていた医師の態度が、少年の心にそれほどの影響を残したのだろうか。

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