EVへの転換は必然、日産エンジン開発終了の真偽 EVや電動化は選択肢のひとつ、本質を読み解く

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2021年12月14日、バッテリーEV戦略を発表したトヨタ自動車(写真:トヨタ自動車)

トヨタは、いちはやく欧州市場へHVの導入を図ったが、当初は走行速度域の高い欧州で燃費向上が国内ほど実感できないとの評価もあった。しかし現在では、HVの販売が好転していると聞く。日本車にとってHVは、核となる商品群であり、CO2規制に適合できる間はガソリンエンジンを活用したHVを売っていくことになるだろう。

当然ながら、EVへの転換にも力を注いでいくはずだ。それに際して注目すべきは、駆動用リチウムイオンバッテリー生産規模の拡大だ。欧米各企業とも数兆円規模の投資を行う計画が発表されており、あとはそれを実現するだけである。とはいえ、一朝一夕に工場が立ち上がるわけではない。また、バッテリーはリチウムイオンであるかどうかを問わず、ワッセナー協約(かつてのココム規制)による輸出入の制約を受ける部品であり、EVやPHEV、HVをつくる工場と同じ地域で生産することが不可欠である。完成車とバッテリーを同じ地域で生産することは、原価の低減につながり、EVを安価で身近なクルマにできる。

大幅な値下げで街中でも見かけることが増えたテスラのモデル3(写真:テスラ ジャパン)

象徴的なのが、昨年春に実施された日本国内におけるテスラ「モデル3」の80万~150万円におよぶ大幅な値下げだ。これは、中国上海の工場が立ち上がったことと、そこで生産される車種がモデル3に限定的である(モデルYも生産される計画)ため、生産拠点と市場の近い日本での新車価格を下げることに貢献したのだ。その結果、国内でモデル3を見かける機会が急激に増えた。

自動車業界にいるものであれば当たり前のシナリオ

エンジン開発にまわしてきた投資を、そうしたバッテリー生産拡大へ向けていくことは、自動車メーカーにとって当然の道筋であり、それをいまさら見出しに掲げて記事化することは、たとえ言葉として明確になったのだとしてもそれほど意味のある内容とは思えない。それが「日産がエンジン開発終了へ まずは欧州、日中も段階的に」という、日本経済新聞の記事の真相でもある。

e-POWER専用車として人気を博している「ノート」。2021-2022「日本カー・オブ・ザ・イヤー」にも「ノート オーラ」「ノート オーラNISMO」「ノート AUTECH CROSSOVER」とともに選ばれている(写真:日産自動車)

日産としても、まだエンジン車やe-POWERに納得して乗っている消費者がいる限り、エンジン開発をやめるということを、期日を明確に設けず発言することはないのではないか。ただ、ホンダのように18年後というような時間軸で明確な目標を示すことは大切だ。

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