未だ「空気感染を認めない」日本のコロナ政策の謎 有識者8人が連名で国立感染症研究所に質問

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では、この記述の何が問題なのか。本堂氏は2つの問題を指摘する。1つは「論理的に問題があると思われる記述がある点」、もう1つは「世界的なコンセンサスが得られている考え方と一致しない記述が見られる点」だ。

まず、1つめの問題点は、「換気が不十分な屋内や飲食の機会で感染が広まっているとする一方で、現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず」としているところだ。

「〝換気が不十分なところで感染が起こる〟と述べている一方で、〝エアロゾル感染は増加していない〟という。これは明らかにおかしい記述です」

昨年から新型コロナ感染は〝空気感染(空中を浮遊するエアロゾルを通して感染が広がる状態)〟が主な感染ルートであると主張している本堂氏ら(詳しくは、前回記事『38人の科学者が提言「空気感染」から身を守る方法』)。空気感染だからこそ換気が必要になると考えるのが普通だが、感染研は〝空気感染ではないが、換気は必要〟といっているわけだ。

そもそも、これは2つめの問題にも通じるが、本堂氏によると、新型コロナウイルスはオミクロン株に限らず、従来株からずっと主に空気感染で広がるということは、国際的なコンセンサスとなっているという。

例えば、WHO(国際保健機関)では2021年12月23日に更新したホームページでは、〝ウイルスは感染者の至近距離にいる人たちが感染者の咳やくしゃみ、会話、咳、呼吸をしたときに感染する〟としていて、これを近距離のエアロゾル(short-range aerosol)あるいは、近距離の空気感染(short-range airborne transmission)としている。しかも〝ウイルスが広がる(can spread virus)〟と断定調で書かれている。

これに対して、ウイルスに汚染された表面や物に触れた後に目や鼻、口を触ることで感染する、いわゆる接触感染については〝かもしれない(may)〟という表記にとどまっている。

WHOだけでなく、アメリカのCDC(アメリカ・疾病対策センター)でも昨年5月には主要な感染ルートは空気感染であると述べている。

「少なくとも海外の論文を読んでいる研究者なら、〝新型コロナの主な感染ルートは空気感染である〟とわかっています。それなのに、なぜ感染研だけが頑なに飛沫感染と接触感染を主張するのか、まったくわかりません」

今年に入り、特にオミクロン株の流行が始まってからは、周囲に感染者(陽性者)や濃厚接種者が明らかに増えた人も多いだろう。政府や分科会が呼びかけている「基本的な感染対策(マスク着用、手指衛生、換気など)の徹底」だけでは、もはや十分でないと感じている人もいるはずだ。

実際、本堂氏らの有識者のもとに、学校や高齢者施設の関係者からの問い合わせが増えている。

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