「感染ルートの優先順位にわれわれがこだわるのは、対策を講じるために非常に重要だからです。人もお金も潤沢にあるわけではない中、限られたリソースのなかで重み付けをして配分していかなければなりません。でも現状は、われわれから見て優先順位が低いものを手厚くしているように思えてなりません」
さて、この公開質問状の提出から1週間経った2月8日、本堂氏に感染研から回答が届いた。それを紹介する。
「ご質問の内容につきましては、研究者の間で議論の途上にあるところと認識しており、学術界において科学的な知見を基に合意形成がなされていくべきものと考えております。国立感染症研究所といたしましては、今回お問い合わせのあったご意見も参考にしながら、今後とも最新の科学的な知見に基づき感染症対策に資する情報発信を適切に行っていく所存です」
これを受け取った本堂氏は、肩を落とす。
「新型コロナの関係に限らず、すべての科学は研究の途上、議論の途上です。『研究者の間で議論の途上にある』というのは、永遠に使えるマジックワードでしかない。一方で、『最新の科学的な知見に基づき感染症対策に資する情報発信を適切に行っていく』といっていますが、新型コロナが空気感染するということは、最新の科学の知見です」
さらにこうも言う。
「感染研も科学者の集団であり、“独自の見解”でもって接触感染や飛沫感染を重視するのであれば、その根拠となるエビデンスを示してほしい。〝○○という根拠があるから、WHOやCDCとは違った見解である〟と」
感染研は1月26日に「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第7報)」を出した。
感染経路については、「国内の流行初期の多くの事例が従来株やデルタ株と同様の機会(例えば、換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起こっていると考えられた」という記述にとどめられていた。
本件に関して、編集部からも感染研に問い合わせたが、「当該取材につきましては、質問者様にこちらから回答したことが全てでございますので取材は承ってございません」との回答だった。
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