コロナ後は再編へ「病院経営」あまりに苦しい実態 人口減少、資金不足、後継者難で生存競争が加速
人口減少、ほかの病院との競合、医療需要が減少しているにもかかわらず急性期医療を中心とした診療体制など、公立・公的病院が抱える課題は民間病院にも共通する。日本の病院は医療法人(民間)が7割を占めている。
東海大学は今年1月31日、神奈川県大磯町にある医学部付属大磯病院(312床)を来年3月1日付で、病院グループ最大手の徳洲会に譲渡すると発表した。大学病院の本院は急性期を中心にした大型総合病院だが、分院となると公立・公的病院や民間病院と競合することが多い。その経営が難しくなっているのだ。
大磯病院は、同大医学部付属の4病院のうち3つ目の病院として1984年に開設。21の診療科があり、急性期医療から在宅医療との連携まで40年近く地域医療の中心を担ってきた。ところが人口減少や医療需要とのミスマッチから、赤字が常態化していた。
民間病院の医業利益率は1~2%
福祉医療機構によると、民間病院(医療法人)の医業利益率はそれほど高くなく、近年は1~2%。2020年度はコロナ禍によって、患者の来院が減ったり診察や検査を縮小したりしたため、マイナス1%台に悪化した。
福祉医療機構を通じた政府の無利子融資などで資金面の不安はないが、もともと収益力が高くないため、コロナ禍の後に患者が戻ってこなかったときを不安視する病院経営者は多い。
病院の抱える課題として建物の老朽化もある。民間病院には病床数を規制する85年の医療法改正の前に駆け込みで建てられたところが多い。築40年を超えても資金不足のために建て替えや耐震工事に対応できないことが予想される。
病院経営に詳しいコンサルティング会社の幹部は、「コロナ禍が収束すれば、再編の動きが本格化するのでは」と、展望している。
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