46歳社長がキーエンス→ホスト→起業で得た成功 「プロテイン」大ヒットの裏にさまざまな仕掛け

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「大事なのは人の言うことを聞くこと。自分だけの力では絶対にうまくいかない」。謙虚さを心に刻み、再々スタートを切った。その謙虚さにより、「顧客は何を求めているか」を察知することができた。2016年、パーソナルトレーニングジムの総合情報サイト「ダイエットコンシェルジュ」を立ち上げるなど、フィットネス業界に進出。その経験と人脈を生かし、大ヒットの「VALX」を生み出した。

1月に東京・武蔵小山にオープンした初の「VALXジム」。コストカットで、「月会費3000円台から」を実現(定員に達したため新規入会停止中)。ボディービルの国際大会でも使用される上級者向けのマシンも導入されている(写真:レバレッジ)

急成長の背景には、「コロナ禍の健康意識の高まり」もあった。だからこそ一過性ではだめだ。1月にはVALX初の店舗事業「VALXジム」を東京・武蔵小山にオープンさせた。24時間オープンで、顔認証やWEBで入会手続きが完結するなどDX化を進めている。

最近他社でもよく見るスタイルだが、驚くのは価格。広告費の削減やパーソナルトレーナー事業との連携などで「月会費3000円台から」という低価格を実現した(定員に達したため新規入会停止中)。

「日本のジムは高すぎる」

「日本のジムは高すぎます。この価格をベースに全国に展開していきたい」。只石さんはジム業界にも風穴を開けようとしている。しかし、コロナ禍で苦戦するジムも多い中、なぜあえて挑戦したのか。「コロナ禍だからこそ、人々は健康が大事だと気づいたんです。そこに勝機はあります」。

急成長するベンチャー特有の課題もある。人手不足だ。トップの志が高いからこそ、入社希望者とのマッチングの難しさも痛感している。そんな中でも会社の“強み”がいい人材を呼べると信じている。「筋トレ好きな人は自己管理ができる人。つまり優秀な人が多い。筋トレを通じてレバレッジを知ってもらい、一緒に働けたらと考えています」。これまで培ってきたビジネス手腕が採用でも通用するのか。腕の見せ所だ。

玄人向けだった事業は、どんどん一般向けにシフトしてきている。ライバルも多くなる。「筋トレはファッションだと広めたいですね。その認識を当たり前にすることで市場は広がっていきます」。商品を売るだけでなく、文化を変える。只石さんの目標は高い。

最後に、若いビジネスマンに伝えたいことは何かと聞いた。「自分の力を過信して頑張ろうとしないでほしい。周りを頼っていいんです」。そして、最後に口をついたのはやはりこの言葉だった。「謙虚であれ」。傲慢やプライドにまみれた地獄からはい上がってきたからこそ、この言葉は重かった。

長谷川 翼 フリーライター

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はせがわ つばさ / Tsubasa Hasegawa

1988年生まれ。新潟市出身。法政大学法学部国際政治学科を卒業後、2012年に朝日放送テレビ(大阪)入社。スポーツ局の記者・ディレクターとして3年間勤務した後、報道局に異動。大阪府警一課担当&サブキャップとして凶悪事件の取材、遊軍記者として熊本地震や大阪北部地震などの災害取材、ドキュメンタリー制作などを担当。その後、31歳で平日夕方のニュース番組「キャスト」の報道デスクに就任。選挙や事件事故、コロナ禍のニュースを取り仕切る。2021年夏に退社し、フリーライターとして活動するかたわら、大学で教育学を学ぶ。Twitter:@hasegawatsubas8

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