渋沢栄一の大成功は「良い独りよがり」の賜物だ 歩みを止めなければ答えは自然と導き出される

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廃藩置県の実現

「彼の大きな功績の1つが、公債証書を発行し廃藩置県を実現したこと。明治4年、それでやっと本当の明治維新が完成しました。新政府にとって藩は、江戸時代の行政区分ですから切り替えたかったものの、当時の藩には商人への莫大な借金がありました。さらに、各々の藩士の家禄(いわゆる給料)もどうすればいいのか、明治政府は解決策をもっていなかったのです。

そこで栄一は、フランス留学で学んだ公債の仕組みを実践しました。明治政府が藩政の頃の借金証書や家禄を公債証書に換え、支払いを待ってもらう間は利息を払います。これもフランスで公債の仕組みを知り、100%の理解はできずとも、帰国後まず静岡で銀行と商社を作り、実務の中で理解を深めていったからこそできたことでしょう。

それから、独善的ながら柔軟性を持っていた点も、渋沢栄一のすごいところです。助言を冷静に聞き、理解し受け入れる能力もある。だから思考を変えられる。先の見えない時代では、時にこれまでとは異なる考えを受け入れることも必要になるでしょう。まさに、渋沢栄一の通ってきた道が参考になるのではないでしょうか」

「タイプの違う4名の偉人を紹介しましたが、人それぞれに性格や気質がありますから、ぜひ自分に合う歴史上の人物を参考にしてみてください」と加来先生。仕事で、人生で迷ってしまったときに、偉人の選択に倣ってみてはいかがでしょうか。

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