日本経済は2021年10-12月期に2四半期ぶりにプラス成長となり、20年10-12月以来の高い伸びになったとみられている。新型コロナウイルス感染第5波の収束に伴い緊急事態宣言が解除されたことで個人消費が持ち直し、自動車生産や輸出の回復が成長を後押しした。ただ、年明け以降オミクロン変異株による感染が急拡大しており、22年1-3月期は再びマイナス成長になるとの見方もある。
エコノミスト調査では第3四半期は年率6%の高成長に
内閣府が15日公表する10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値について、ブルームバーグのエコノミスト調査(中央値)では前期比で1.5%増、年率6.0%増が見込まれている。
エコノミスト調査によれば、個人消費、設備投資、輸出は2四半期ぶりにプラスに転じる見込み。緊急事態措置解除で社会経済活動が回復へ向かう中、同四半期の実質消費支出(2人以上の世帯)は前期比4.6%増加した。
明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミストは、コロナ感染拡大に伴う供給制約の影響で7-9月期に落ち込んでいた自動車の販売や輸出が10月以降回復に向かい、「10-12月は自動車主導でかなり伸びる」と予想。個人消費は11-12月に息切れしたものの、「9月後半からコロナ感染収束で人流が回復し伸びた」と語った。
もっとも、GDP成長率は1-3月期に鈍化し、再びマイナスに陥るとの見方も出ている。コロナ感染再拡大で政府は1月9日にまん延防等重点措置を沖縄など3県に発令。対象地域はその後、東京都を含む36都道府県に広がった。
海外からの部品供給が滞り生産や輸出も停滞する
小玉氏は「オミクロン株の収束は予想よりも長引いている。まん延防止措置が広がってから人流はぐっと鈍っている」ため、個人消費は1-3月期に再び落ち込むと予想。さらに、アジアから部品供給が滞り、自動車中心に生産や輸出も停滞する可能性が高いとみている。
政府は昨年12月、GDPがコロナ前水準に回復する時期を、従来の21年中から22年1-3月期に先送りした。小玉氏は、「中国経済や海外景気もさえない状況が続く中、輸出も伸びにくいこともあり、大方の予想より時間がかかる」と指摘。消費増税が影響した19年10-12月期(543.3兆円)水準への回復は22年4-6月期、19年7-9月期(556.6兆円)水準へは10-12月期までずれ込むと予想した。
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著者:伊藤小巻
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