これから本格化⁉銀行手数料をめぐる複雑な展開 「現金は扱いたくない」金融機関のリテール戦略
三井住友銀行などは「現金レス」の店舗を増やし、あおぞら銀行の店舗は現金の取扱いを行わない。現金というものは、そもそも盗難を始めとしてセキュリティーの問題があり、今後、減少していくものである。「ATM」の使用も現金使用と連動している。
昨年10月に、銀行は振込手数料を改定した。それは昨年「銀行間手数料」の大幅な引き下げがあったからである。きっかけは、公正取引委員会の指摘からであった。決済システムは「全銀システム」を使用する。
この引き下げは、窓口、ATMそしてネットバンキングの順で安くなる体系にしている。この広がりの形が「K字」に似ているとも言われている。
銀行の中には、窓口での振込依頼について、逆に値上げをしようとする先もあったが、さすがにそれは金融庁に止められた。
手数料のサブスクが始まるか?
先に述べた2つの手数料は1件ごとの手数料であったが、この口座維持手数料(三井住友銀行は「システム未利用手数料」という)は“期間”で収納する。この期間の概念は、とくにシステム費用の面から必要不可欠となっている。もちろん、さまざまな条件があり、全員、全口座に適用されるわけではない。アメリカなどでは一般化した手数料で日本では導入が遅れていた。
システムは、みずほのシステムMINORIの開発費用で4000億円となっており、開発に費用がかかるが、維持にも同様に費用がかかる。銀行システムの場合はとくにリテール口座関係の割合が高い。とくに最近では、マネーロンダリング(資金洗浄)関係の対応費用の増加が著しい。
そのため、使用されていない口座にかかるコストを負荷しようとするものである。もちろんそのベースのコストの原価計算が必要不可欠なのは言うまでもない。
ほかの手数料もそうであるが、手数料の新設や改定をするということは銀行にとって重大な決定である。それによって、顧客が離れる可能性もあるからである。そのため、基本的な考え方は、社会的な納得性と覚悟が不可欠となる。
通帳を発行している口座には、毎年200円の印紙税がかかる。そのため、みずほの口座数は3500万口座あり、年間70億円かかる。そこで、実際には使用されていない口座を削減しようという目的もある。
実は、3メガバンクと2つのりそなの5行を中心として、新しい決済インフラ「ことら」(小口トランザクション)が、今年の9月にリリースされる。高頻度小口決済という分野を対象とする。小口とはこの場合「10万円以下」の取引を指す。
この決済システムは、もともとはデビットカードのシステムをベースとして開発したので、早く、安く構築できた。この手数料は無料になる可能性がある。これは銀行関係で歴史的な事柄となろう。
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