【産業天気図・アパレル】アパレル業界は終始「曇り」止まりへ、秋冬物の出足鈍調、低価格衣料も真新しさ薄く失速傾向
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
アパレル業界の景況感は、2010年10月から1年通じて「曇り」と低調に終わる見通しだ。リーマンショック後からの節約疲れで、高額衣料の一部で売れ行きが回復傾向も、猛暑が長引き粗利率の高い秋冬物の衣料品の出足が鈍っている。10月以降にある程度冷えこんでも、消費意欲が低調な中では景況感の本格回復は難しそうだ。
前期に好調だった低価格帯に強みのある衣料品専門店も業績に陰りがみられている。前年実績のハードルが高いこともあるが、既存店売上高が前年を上回る企業はわずかにとどまっている。高品質でありながら低価格のものを求める消費者の志向は一層強まっており、新たな価値を生み出し、真新しいプロモーションで消費者の目を引くことができなければ、低調に推移する可能性が高い。
衣料品専門店最大手、ファーストリテイリングは主力のカジュアル衣料専門店「ユニクロ」で8月から前年の大ヒット商品、機能性肌着「ヒートテック」の販売を開始した。前シーズンは国内で4700万枚を販売した商品だが、今シーズンは7000万枚を投入する計画だ。
ただ9月まで残暑が続いたため、順調に販売が進んでいるとはいえない。前期はヒートテックで集客し「ネオレザー」や「ダウンジャケット」などアウターの販売を伸ばし、9、10月と既存店売上高は前期比3割増となった。だが今シーズンの出足は想定以下。10月以降は「新・ウルトラ ライトダウン」など新商品を積極投入し巻き返しを図るが、前年のハードルが高いだけに、業績の勢い鈍化は免れないだろう。