【産業天気図・自動車】政策需要で足元活況も円高が業績のブレーキに。来春以降は「曇り」に後退

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 ただし80円前半定着、80円突破という状況になれば話は別である。例えばある日系メーカー幹部は「欧州では、円高で輸出採算が取れない小型車モデルの販売を抑えている。販売台数は見た目が落ちるが仕方ない選択」と販売戦略の変更に着手したと明かす。こうして輸出台数が減っていくと困るのが日本国内の生産現場だ。

国内では折しも、遅くとも9月末でエコカー購入補助金が失効する。主要な輸出先である米国新車市場は凸凹がありながらも回復路線をたどっており、国内市場が反落しても輸出台数が確保されていればなんら問題はないはずだった。

政府と業界が描いていたエグジット戦略はしかし、この急激な円高で完全にご破算になった。名目を変えた新車購入支援策を作る時間的余地はあったはずだが、8月30日にまとまった経済対策の中にも、それは盛り込まれなかった。

一部メーカーは下期2割減産になるという観測も持ち上がっている。仮に、各社が大幅な再減産に突入した場合、雇用や地元経済を中心に景気への影響は避けられない。「作ったら捨ててもいいから、減産だけは避けるべきだ」という冗談ともつかない声も聞こえてくる。リーマンショックの悪夢からようやく立ち直った自動車業界は、円高という大雨に襲われるのをこのまま待つしかないのか。
(高橋 由里=東洋経済オンライン)

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