セブン&アイ「そごう・西武売却」その先の超難題 創業事業のイトーヨーカ堂はこのままでいいのか

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このように順調に見えるコンビニ事業ですが、株主から見て物足りない点があるとすればアジア各国の戦略、中でも中国本土への展開ではないでしょうか。

中国では北京、天津、成都に関しては連結子会社で進出し約570店舗を有する一方で、上海などそれ以外の都市ではエリアライセンシーで進出し約640店舗を有しています。合計すれば中国本土は約1200店舗。確かにグローバルなチャンピオンを目指すにしては中国本土での展開に力を入れ切っていない数字に映ります。

こういった点は、海外の投資ファンドがセブン&アイHDに限らず日本企業について、もどかしさを感じているポイントでもあります。

「コンビニ事業に経営資源を集中していれば、中国本土にしても、未展開の新興国についてもグローバル展開のスピードがもっと上がるはずだ」

と投資家は考えるものなのです。

「このまま集中を行わない状況が続けば」の先

ですから株主はセブン&アイHDの経営陣が百貨店事業の戦略に時間を使うのはこの2月の売却の入札までで終えてほしいと思っているはずなのですが、先ほどのバリューアクトの「このまま集中を行わない状況が続けば」という言葉にはおそらくその次があります。

鈴木敏文前CEOが2006年にミレニアムリテイリングを傘下に置いた際、戦略として語っていたことは、イトーヨーカ堂事業についていちばん今まで問題だったのが衣料品事業だということでした。大型スーパーの衣料品事業は画一的になりすぎているのが問題で、デパートの目で衣料を見ることが大きな刺激になると期待を寄せていたわけです。

大型スーパー部門がなかなか利益を上げてくれないということは、かつてのダイエー再生問題でも、ウォルマートの西友への出資でも、イオングループの経営課題でも常に問題となる論点でした。大型スーパーでは食品売り場は利益を稼ぐが、ライフスタイルといわれる衣料や住関連の売り場はなかなか利益を稼いでくれない。そこで戦略としてそごう・西武との相乗効果で衣料部門を立て直すことをセブン&アイHDは期待した。これが2006年の資本参加時点での思惑でした。

今回、その百貨店事業を切り離すわけですから、株主からすると

「じゃあスーパー部門はどうするのだ?」

という疑問が出てきます。

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