セブン&アイ「そごう・西武売却」その先の超難題 創業事業のイトーヨーカ堂はこのままでいいのか

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セブン&アイにとってのパンドラの箱が開いてしまうかもしれません(撮影:尾形文繁、遠山綾乃)

セブン-イレブンやイトーヨーカ堂を運営するセブン&アイ・ホールディングス(HD)が、傘下の百貨店「そごう・西武」を売却する方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。いくつかの報道を受け、セブン&アイHDは公式には「何も決まっていない」と表明していますが、2月中に投資ファンドや事業会社に向けた入札の準備が始まりそうです。想定売却価格は2000億円ともいわれる百貨店事業の売却ですが、そうなった経緯を鑑みるとどうやらその次がありそうです。

ミレニアムリテイリングを構成していたそごう・西武が2006年にセブン&アイの傘下に入ったのは、当時セブン&アイHDのCEOだった鈴木敏文氏の戦略が前提にありました。2016年に鈴木敏文氏が退任し、脱鈴木路線が進行する中でのそごう・西武売却報道ですから、その戦略のスジを追いかければ「何が起きようとしているのか?」はおのずと明確になります。

そごう・西武売却が持つ意味

それはセブン&アイHD経営陣にとっては不都合な論点であり、この段階ではあまり触れたくもない話のはずですが、「あらゆる可能性を排除せずに検討をしている」という公式コメントを読む限り、水面下では少なくとも議論が行われていると思われます。そのことを含め、今回のそごう・西武売却がどのような意味を持つのかについてまとめてみます。

コロナ禍以前、セブン&アイHD傘下でのそごう・西武のセグメント利益は黒字でした。2020年2月期は売上高約5780億円、営業利益約8億円。かつてそごうが経営破綻した当時とは違い、地方店舗の多くを整理し、営業面積の広い旗艦店中心へと経営資源を集約したことと、海外からのインバウンド需要が増加したことで利益が出る体質になったのは経営成果でした。

そごう・西武の旗艦店は全部で6店舗。西武池袋本店と渋谷店、そごう横浜店、千葉店、広島店、大宮店がその陣容です。黒字になったといっても旗艦店6店舗の売り上げは2018,2019、2020年とインバウンドで沸いた割には頭打ちが続いていました。そこにコロナ禍がきて、2021年2月期に赤字に転落し、これから迎える2022年2月期も営業赤字で終える見込みです。

セブン&アイHDから見れば改革を終えた一方で、この先の成長は見込めないと判断した結果でしょうか。メディア各社の報道をみると、内部ではかなり長い間検討が進んでおり、最近になってようやく結論が出たようです。

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