韓国「キンパ」が日本でこんなにも浸透したワケ 今年は「キンパの恵方巻」も人気の予感
2021年12月25日には、お台場でフードコート専門店の「ソルロンタンとキンパとサムギョプサル ベジテジや」を開業。「韓国では、スープが主役でおかずが少しつく食事があるなど、汁もおかずもたっぷり入ったスープのウエイトが大きく種類も多い。そこでスープ・キンパまたは丼をそれぞれ4種類から選べる、韓定食セットなどを販売しています。同店の注文の7割がキンパで、1日200食売れる好調さです」と金氏は言う。
人気の理由を、「各国で渡航規制があるので、韓国ロスになっている人も多いからではないでしょうか」と、推測する金氏。2月には汐留でも弁当などのテイクアウト専門店を開く予定で、ほかにも韓国やきとりのタッコチを日本風にアレンジして売り出す、食材のアレンジ法を発信するなど、次々と仕掛けを打ち続けている。
20年間で徐々にブームが定着していった
韓国料理が日本で本格的に紹介され、人気が出てきたのは、2000年代初頭の第1次韓流ブームの頃。それから20年経つ間に、新大久保や鶴橋などのコリアンタウンにファンが押し寄せることが繰り返され、韓国へ旅行するリピーターも多くなった。
ブームが盛り上がるたびに、韓国料理ファンは増えてきたと言えるだろう。現地へ行けない今、韓国ロスの人々を中心に、手近で楽しめる韓国文化として、以前以上に食に手を伸ばす人たちが多くなったかもしれない。
キンパは、もともと植民地時代に伝わった日本ののり巻きが原型。酢飯の酢が抜けて具材が入れ替わり、韓国料理として発展していった。そうしたどこか懐かしい味であること、辛いものが苦手な人でも食べられるマイルド味であることなどが重なり、人気を得たのだろう。ここ数年、さまざまな具材を包んだおにぎりも流行しており、改めてのりを巻いたご飯料理が注目されていると言える。
唐辛子を多用すること、肉料理の厚みがあることを除けば、韓国と日本の食は隣国同士どこか相通じるものがある。もちろん、そこには支配被支配の歴史も含まれてはいるのだが。そうした負の遺産も含めて、新しいものへと発展し、おいしいと思えば相手の国のものでも人気になる包容力が食の魅力でもある。金氏によると、日本のやきとりが韓国で人気だと言う。こうした文化交流は庶民レベルで、両国の人々の心を近づける。
そして、冒頭に紹介した中山さんのように、日本ののり巻きは作らないがキンパなら作る、という人もいる。日本ののり巻きは家庭料理として衰退しつつあったが、キンパのブームが発展していけば、改めて見直されるかもしれない。
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