法人企業統計でも、この期間に営業利益が急増している。
なお、生産拠点が海外に移転した結果、円安に対して利益が反応しなくなったと言われることがある。しかし、海外移転は、2010年頃には進んだが、その後はあまり進展していない。
営業余剰は、2018年、2019年には落ち込んだ。
法人企業統計を見ると、売り上げは2018年でピークとなり、その後は減少している。
2015年に落ち込んだ原油価格が、2017、2018年に60ドルを超える水準にまで上昇したのが原因だろうと考えられる。
最近では、輸入価格の上昇による原材料価格の上昇を企業が転嫁できるかどうかが問題にされている。
転嫁できずに企業利益が減少するのか、あるいは転嫁して消費者の負担が増えるのか。いまのところ、どちらになるかわからないが、どちらになっても、問題がある。
以上をまとめれば次のようになる。
2.円高になれば営業余剰が減るので、長期的に営業余剰が増えることにはならない。
円安は古い産業を温存し、技術開発の妨げになる
円安依存が望ましくないのは、企業が技術開発をしたり産業構造を改革したりしなくとも利益が増えるため、変革が実現しないで済んでしまうからである。
日本は、1990年代の後半以降、円安政策をとるようになり、2000年以降は顕著な介入政策をとった。このため、1990年代頃までの産業構造が温存されることとなった。
これこそが、日本経済衰退の基本的な原因である。
円安は、一見したところ企業の利益に寄与するように見えるが、長期的に見れば技術力を奪い、そして経済の活力を奪ってしまうのである。
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