モーダルシフトは人手不足だけでなく、環境問題の解消にも一役買う。鉄道貨物輸送の二酸化炭素排出量は、営業用トラックの約6分の1。シフトが進めば、その分、地球温暖化を抑制できる。
日本では、モーダルシフトの主役は、JR貨物である。国鉄時代には、遅い、不便、ストがある、ということですっかり嫌われた鉄道貨物だが、実は速度も、コンテナも、ターミナルの利便性も進化を続けている。
「東京―大阪間の輸送に何日もかかると誤解されることもありますが、スーパーレールカーゴ(M250系電車)なら、6時間程度しかかかりません」と、同社の相談役で第4代社長を務めた伊藤直彦さんが言う。
実は、ボクは隠れ貨物マニアで、JR貨物の機関車のNゲージ模型をほとんど持っているほどだ。世界経済を動かしている「コンテナ」のネットワークにも、人並み以上の関心を持っている。その目線から見て、これまでにJR貨物は、大きな進化を続けてきている。
年間輸送量=10トントラック約300万台分をどう運ぶ?
まず、トラック輸送との連携強化に努めてきた。E&Sコンテナ荷役方式の導入はそのひとつだ。
従来は、貨物列車の着発線では、荷役ができなかった。フォークリフトなどで荷役をしようとすると、架線に接触する怖れがあったからだ。このため、貨物列車を、架線のない荷役線まで、ディーゼル車で誘導する必要があった。しかし、これには時間もコストもかかる。そこで、コンテナを上から釣り上げるのではなく、下から持ち上げるなどして、着発線に停車したまま、荷役ができるようにしてきた。
31フィートコンテナの導入も進めてきた。これは、内寸が9245ミリ×2350ミリ×2210ミリで、積載重量が13.8トンのコンテナである。従来の12フィートコンテナ、通称、ゴトコンより大きく、そのまま大型トラックに乗せることができる。これで貨物列車からトラックへの積み替えの作業が不要になる。従来、鉄道コンテナにはゴトコンが使われることが多かったので、どうしても積み替えが発生していた。その手間を省いたのだ。
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