クラファン詐欺で儲けようとした26歳女性の悪質 1ヵ月半で約185万円を騙し取ったケースも

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和歌山市が、2019年オープンの「(仮)和歌山市動物愛護管理センター」で犬猫殺処分ゼロを目指し、クラウドファンディングを行ったことがある。ふるさと納税で資金を募る、ガバメントクラウドファンディングの利用だった。

その結果、1464人が応募し、目標の1800万円を大幅に超える約2500万円、市に直接届けられた分を含めると約2800万円が集まった。ところが、犬や猫の不妊去勢手術をする設備充実を図るためという名目で調達したにも関わらず、そのうち半分を「印刷製本費」「自動車保険料」「火災保険料」などに使用しており、批判を集めてしまった。

このように、寄付金型クラウドファンディングの中には、確実にその用途で利用されるかが確認しづらいものもある。各プラットフォームがプロジェクトの審査を行い、詐欺に該当しそうなものは除外するなどの対処を行っているが、このようなケースまで把握することは難しいだろう。

事業が失敗するケースも

リターンがある購入型クラウドファンディングでは、事業が失敗すれば当然リターンはなくなるが、ただの失敗ではなく詐欺同然と批判を浴びている例も存在する。2015年、ZANOという小型ドローンのプロジェクトで英国の会社が233万ユーロ(約3億6千万円)を集めた。ZANOはスマートフォンで制御でき、写真や動画の撮影も可能な手のひらサイズの小型ドローンだった。

製品はほぼ完成しており、量産するだけという話だったが、製品の出荷は延期に延期を重ねてしまう。さらに先に一部出資者に向けて出荷されたドローンは飛行の安定性が低い上、撮影された動画の画質も悪く、当初うたわれていた追尾機能も搭載されていないなど問題あるものだった。

結局、同社のCEOが健康上の理由により辞任、破産申請したため、投資者には製品も返金もない状態となってしまったのだ。購入型はプロジェクトがうまくいかない場合は返金があるものだが、このように返金もリターンもないということもある。

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