過去データが示す利上げ局面では米国株は好調 ただ21年の調整軽く22年はより大きな後退もある

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ナスダック100指数は先週、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で急落した2020年3月以来の下落率を記録した。投資家は今後、26日に終了する連邦公開市場委員会(FOMC)の結果に向き合う必要がある。エコノミスト予想では、FOMCは3月の利上げ開始と、その後早期にバランスシート圧縮に着手する方針を示す見通しだ。

FOMCの引き締めサイクル開始時に米株式相場が過去にどう推移したかを以下にまとめた。

歴史的には堅調

過去のデータでは、米金融当局の利上げ局面では米国株は好調な傾向があり、2022年は年初よりも良い基調で終了する可能性が高そうだ。トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズのキース・ラーナー共同最高投資責任者(CIO)によれば、1950年代以降の12回の米利上げサイクルで株式相場は年率で平均9%上昇し、そのうち11回でプラスのリターンだった。唯一の例外は、1973年から75年のリセッション(景気後退)に重なった72年から74年の期間。

アナリストの間では、金融政策の引き締めや新型コロナ感染拡大を巡る長引く懸念は、米株式市場全般が再びプラス圏で終了する妨げにはならないと考えられている。ブルームバーグが集計したストラテジストの予想平均によると、2022年末のS&P500種株価指数は4982と、21日終値を13%上回る水準。同指数は21年に27%近い大幅上昇となり、3年連続で2桁のリターンを記録した。

ストラテガス・セキュリティーズによれば、過去のデータでは、投資家は最初の利上げに至るまで景気敏感のバイアスを維持することが有益だったが、その後の3カ月のパフォーマンスは振るわなかった。過去30年間の米利上げサイクルのうち、こうした傾向が顕著だった4回では、S&P500素材株指数は最初の利上げ前の3カ月には平均9.3%上昇したが、その後の3カ月では2%下落した。

S&P500種は利上げ局面では堅調なケースが多いが、同指数が昨年経験した反落は極めて穏やかだったことから、今年のより大きな後退につながる可能性はある。

また、11月の中間選挙は今年の米株式相場に打撃を与えかねないもう一つの要因だ。市場のリターンは選挙結果とそれに伴う政策変更を巡る不確実性から、年終盤まで抑制される傾向がある。ただ、中間選挙年の最後3カ月と翌年1-3月(第1四半期)と4-6月(第2四半期)は、4年間の大統領選挙サイクルで好調が目立つ時期だとLPLファイナンシャル・ホールディングスは1950年以降のデータから分析している。

原題:U.S. Stocks Historically Deliver Strong Gains in Fed Hike Cycles(抜粋)

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著者:Jess Menton

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