オミクロンで混迷の日本、「国民軽視」の根本問題 時代遅れの感染症法「強制入院規定」が元凶だ

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では、海外はどうなのか。図をご覧いただきたい。1月21日の経済協力開発機構(OECD)加盟国の人口1000人あたりの検査数(1週間平均)を示す。日本は1.18件で、メキシコに次いで少なく、マレーシア(3.25件)やインド(1.27件)にも及ばない。多くの国は、オミクロン株の流行下でも、日本とは桁違いの検査を実施していることがおわかりいただけるだろう。

(外部配信先では図表や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

なぜ、こうなるのだろうか。読売新聞が1月19日付記事で舘田一博・東邦大学教授による「財政的な問題もありますが、検査試薬を作る製薬企業への支援も検討すべき」という意見を紹介しているように税金の投入を求める論調もあるが、日本の検査数が、先進国で最低レベルなのは、そんなことでは説明がつかない。

日本の検査数はマレーシアに及ばず稼働率も低い

日本の検査数は、そもそも目標が低い。現在の日本の1日あたりの検査能力は約38万5000件だ。もし、この数の検査を実施したとしても、人口1000人あたり3.06件にすぎず、OECD諸国ではコロンビア(1.73件)、ポーランド(2.62件)、ニュージーランド(2.7件)を抜くだけだ。東南アジアでは、いまだマレーシアに及ばない。

ちなみに、昨年8月27日には27万5680件の検査を実施している。デルタ株の大流行を経験した後も、検査体制を強化していなかったことになる。

日本の検査体制は検査能力が低いことに加えて、稼動率が低いことも問題だ。1月21日の検査数は、検査能力の39%にすぎない。年が明けて最も検査数が多かった1月14日ですら21万7291件で、稼動率は56%だ。

私は、厚生労働省が強い意志をもって、検査を抑制してきたと考えている。そうでなければ、日本の検査能力が先進国最低レベルという説明がつかない。最大の理由は感染症法の入院規定の存在だ。

感染症法では、法定の感染症患者に対して、知事は「入院させるべきことを勧告することができる」とある。この条文があるのに、入院させずに自宅で死亡すれば、知事が責任を追及される。この結果、知事は全感染者を入院させる。軽症で感染力が強いオミクロン株でも、当初、全感染者を入院させたのは、このためだ。

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