四国の新幹線建設運動は、1980年代に本格化した。その後、北陸新幹線や北海道新幹線の開業を経て2017年、四国4県と経済界は四国経済連合会を中心に「四国新幹線整備促進期成会」を設立。運動は地元でも前例のない、「オール四国」の体制での取り組みと評され、「基本計画路線の中で、最も活発な活動を展開する地域として、中央において広く認識」(期成会資料)と自負する。
期成会は、リニア中央新幹線が大阪開業を迎えて「スーパーメガリージョン」形成が想定される2037年を開業の目標に設定した。さらに、4県の県庁所在地は最短の高松-徳島間が19分、最長の徳島-松山間でも1時間1分で結ばれ、新大阪とは1時間15分~1時間38分で直結する、という未来図を描き、効果の検討やSNSを使ったアンケート、広報活動に力を注いできた。
期成会発足と同じ2017年、JR四国の呼びかけにより、国と四国4県、経済界などの代表者から成る「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」が設置され、2019年には「新幹線を骨格とした公共交通ネットワークの構築」を柱とする将来像がまとまった。これに対応して2021年3月、JR四国は「新幹線等の抜本的高速化の早期実現」をうたった「長期経営ビジョン2030」を策定した。
新幹線4駅のイメージ提示
一連の流れを後押しする形で2021年3月、衆参両院の国土交通委員会は、JR四国の支援関連法案の審議で「四国における新幹線についても検討を進めること」という付帯決議を全会一致で採択している。さらに、期成会は2021年11月、自民党と国土交通省に対し、次年度予算で四国新幹線の整備計画格上げに向けた法定調査を措置するよう要望した。
一方、香川経済同友会は2021年2月、四国新幹線の路線と駅の設置位置の検討を始めることなど4項目の提言をまとめ、高松駅のイメージ図を添えて香川県庁と高松市役所へ提出した。駅の候補地としては現JR高松駅、JR栗林駅付近、ことでん伏石駅付近、そして高松空港付近の4案を示し、「四国新幹線開業を見据えたまちづくり議論の起爆剤に」と位置づけた。
地元の組織的な活動が加速する半面、住民には四国新幹線建設の意義や必然性が必ずしも浸透していない。「新幹線を県民の『自分ごと』と感じてもらうにはどうしたらよいか。特に若い人に考えてもらいたい」と岩崎課長は思案する。期成会の資料も「四国の住民の中にはいまだにその実現に懐疑的な声や否定的な意見、認識不足による誤解が少なくないのも事実」と認めている。
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