「奨学金360万円」女性が"リボ地獄"に陥ったワケ 無知な若者がマネーリテラシー身につけるまで

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「普段は切り詰めていたんですが、私が部長をしていた部活では、練習後に夕食をしながらミーティングをすることがとても多かったんです。そうするうちに、『食事代をクレカで支払う⇒みんなから集めた現金は口座に入れる⇒集めた現金が先月分の引き落としに消える⇒食事代の支払い分のお金がない⇒新たにミーティングをしてお金を集める』……みたいな自転車操業になっていきました。

そんなある日、財布を落としてしまい、カードも失くしてしまって。しかも、何回か返済を遅延したこともあったので、ブラックリストに入ってしまっていたのか、もう新規でカードが作れなくなってしまいました。結果、そのリボ払いの分と奨学金を返すだけの生活を、社会人2年目の途中まですることになりました」 

華やかな女子大生でいることは、非常に困難なことではあったが、美穂さんは無事に4年間で大学を卒業。夢だった幼稚園の先生になる。

しかし、前述したように、この間もリボの返済は終わっていない。金利分こそ払っていたものの、元金はあまり減っていなかった。

クレカ会社から恐怖の電報が…

「幼稚園の先生として働き始めた頃は、手取り16万円でした。リボが払えず、そのまま放ったらかしにしていたら、『至急連絡ください』の一文だけの電報が届き始めて……」

決して贅沢をしていたわけではなかったが、今までどおりの生活をしていては、いつまでもリボの支払いを終えられないのは明らかだった。

「そこで、『もらっているお金から、必要なお金を引いたお金が、使えるお金なんだ』とようやく気づいたんですよね」

無知の3つ目は、「収支の感覚」だった。学生時代からずっと忙しい日々を送ってきたこともあってか、収入と支出のバランスを考える習慣が養われてこなかったのだ。

「さすがに『これはヤバいかもしれない』と思って、元金を減らすために毎月3万円を返済することにしました。働き始めて半年後からは奨学金返済も開始。毎月1万7000円です。家賃や水道光熱費、スマホ代などを払うともういよいよお金がないので、食費を切り詰めるしかありませんでした。当時はすき家に通ってましたね。安くてお腹が膨れる牛丼ばかり食べていました」

2つの返済が重なったことで、美穂さんのマネーリテラシーも少しずつ向上していったわけだが、人生には予想外の試練が訪れるものだ。リボの返済もなんとか社会人2年目で終了したが、過労もあって社会人4年目で体調を崩してしまい、休職。肝心の、奨学金の返済ができなくなってしまったという。

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