息子が塾ナシで「慶應と美大合格」ある家族の秘訣 "勉強一色とはほど遠い"生活からの逆転

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ところが、それからが大変だった。寮生活をしていた中高一貫校は全校生徒が50人程だったのに対し、転校先は1000人以上の規模。中1の間あまり勉強していなかった次男は、新しい環境に慣れず、授業にもついていけず、机の上で寝てばかりいた。

「通知表はほぼ『2』だったけど体育で『1』がついたことがあったんです。それはさすがに納得できなくて、先生に理由を聞きに行きました。そしたら、体操服を持ってこないから『1』にしたって。その理由にも納得できずに、本人は転校したばかりでメンタルが不安定なので、問題があればまず親に連絡してほしいとお願いしました」(緑さん)

それから「1」はつかなくなったものの、進路を心配した緑さんは次男に「このままだとどこにも進学できなくなる」と告げた。すると中3から「3」がいくつかつくようになったが、補導されては警察から電話がかかってくるのに変わりはなかった。

「中1のときの寮生活はゲームもスマホも禁止だったから、読書好きになったのはよかったんです。でも、エロ系のマンガにもハマったみたいで、秋葉原のアダルトコーナーでたびたび補導されてましたね(笑)」(緑さん)

エリンさん(撮影:梅谷秀司)

「でも一度、次男が2日経っても帰らず行方不明になって、全国の警察に通達されたことがあったんです。結局、ネットカフェで一夜過ごして、お金がなくなったから公園にいたところを見つかって。補導されて警察署に連れていかれたんですが、次男のバッグからエロマンガがいっぱい出てきて、警察の人から『どんだけ周りの大人に迷惑かけたと思ってるんだ! 』って、小部屋でドラマみたいなものすごい剣幕で怒られていました。

私は帰りに、『そのマンガ、結構、高かったやろ?』って(笑)。お年玉とか貯めて買ってたみたいですけど、中学生が、性的なことに興味を持つのは別に怒ることじゃないですからね。でもそれからは家出しなくなりました」(エリンさん)

先輩ママの「親はガタガタしちゃダメ!」のひと言

次男が中3になると、進学先の問題が差し迫ってきた。受験勉強などやる気がなく、成績も低迷中の息子に合う学校はあるのか? 迷いに迷った緑さんは、同じく反抗期が大変だった娘を持つ信頼する先輩ママに相談した。

「そのママ友に次男のことを話したら開口一番、『親はガタガタしちゃダメ!』って言われたんです。『子どもが反抗しても何しても、寮に入れたりガタガタ動いちゃダメ。信じて待っていれば、反抗期なんてそのうち台風の後みたいにシーンと収まるから』って」

その言葉で迷いが吹っ切れた緑さんは、ママ友の息子さん(長男の同級生)も通っている学校なら間違いないと思い、本人も見学して気に入ったので受験させることに。本やマンガが好きな次男は読解力があり、英語も得意ではないがエリンさんの仕事で小学生のとき再度1年間アメリカに住んだこともあったため、ほかの教科よりは点数が取れた。そこで、専願なら入試科目が英語と国語だけで、偏差値40台の次男でもいけそうだと考え、たいした受験勉強もさせずその私立高校を専願で受けさせたという。

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