息子が塾ナシで「慶應と美大合格」ある家族の秘訣 "勉強一色とはほど遠い"生活からの逆転

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もともと読書好きだったことに加えて、ストレスフルな受験勉強をコスプレで楽しむ余裕が、全教科ほぼ「2」だった中学時代から大逆転した決め手になったのかもしれない。

「高校2年くらいのとき次男は、『僕は勉強ができるようになりたいんじゃなくて、物知りになりたい』と言ってました。嫌いだった勉強が楽しくなったんでしょうね」

そう緑さんが話すとエリンさんも、「受験のための勉強から、知りたいための勉強に変わっていったのがよかったんだと思います」と続けた。

結果的に次男は、早稲田には縁がなかったものの、慶應に現役合格。ちなみに、「ガタガタしちゃダメ」とアドバイスしてくれたママ友の息子さんも、まったく勉強する気のなかった中学時代から豹変し、同じ高校の特進クラスから慶應大学の法学部政治学科に合格したそうだ。

「教育って本来、知識を覚えさせて考えさせ、理解させて、人間的成長を促すものですよね。でも日本の教育は階級制度の詰め込み式で、偏差値と進路だけが評価の対象になっている。人間的成長の中身は関係ないんです。それは社会が、受け身で疑問を持たず意見も言わない人間を求めてきたから、日本の教育もそういう人間を大量生産してきたんだと思います」(エリンさん)

勉強嫌いの長男も専門学校をやめ、大学進学を希望

一方、長男は、ファッションや音楽に興味があり、両親と共通の話題が多くよく会話していたため、反抗期らしきものはとくになかった。勉強もスポーツも嫌いではなかったが、「制服が嫌」という理由で私服の都立高校に進学。

1年生の夏休みの宿題は大学のキャンパス訪問で、緑さんの勧めで武蔵野美術大学を見学したものの、そのときは無関心だった。1年生の終わりには、「みんなゲームやアイドルの話しかしないからつまらない」という理由でアメリカへ転校。エリンさんの実家から地元の高校に通ったが、アメリカの学校もつまらなくて、音楽やファッションなど趣味のことは緑さんとSNSでよく話していたという。

その後、アメリカの高校を卒業して帰ってきた長男は、「大学には行きたくない」と宣言。「それなら、ファッションが好きだから文化服装学院がいいんじゃない?」と緑さんに勧められるまま願書は出した。しかし、「ファッション業界は給料も低くて過酷」という話を聞き、「そんな条件で頑張れるほど好きじゃないかも」と言いはじめ、書類に不備もあったため落ちてしまった。

そこで「デザインはどう?」と次も緑さんに勧められるまま、バンタンデザイン研究所のグラフィックデザインコースに通うことに。ところが、直後に新型コロナウイルスの影響でオンライン授業となり、一気にモチベーションが下がって、入学2カ月後には「やっぱり大学に行きたい!」とはじめて本人が大学進学を希望した。

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