いったい、介護費用は月にいくらかかるか? 在宅、遠距離、施設入所でシミュレーション

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■介護費の負担を減らすための、介護保険の仕組み
介護保険の支給限度額までは【1割自己負担】 ※注1
2015年8月から一定の所得(年金年収なら年280万円以上)がある人は自己負担が1割から2割にアップ
(1)公的介護保険の介護サービスの利用費
要支援1 5003円/サービスの目安:週2~3回
要支援2 1万473円/サービスの目安:週3~4回
要介護1 1万6692円/サービスの目安:1日1回程度
要介護2 1万9616円/サービスの目安:1日1~2回程度
要介護3 2万6931円/サービスの目安:1日2回程度
要介護4 3万806円/サービスの目安:1日2~3回程度
要介護5 3万6065円/サービスの目安:1日3~4回程度
→それを超えたら【全額自己負担】
※注1:金額は公的介護保険による在宅サービスの月額自己負担限度額。標準的な地域の例
(2)介護サービス以外の費用 【全額自己負担】※注2
配食・家事代行・紙おむつ支給など+医療費
※注2:補助が出る自治体もある

認知症進むと増す負担

冒頭の「父親」が要介護2と認定され、退院後、自宅に戻って一人暮らしを続けると仮定しよう(下記ケース1)。<食事や排泄に何らかの介助を必要としたり、立ち上がりや歩行などに何らかの支えが必要。もの忘れや直前の行動の理解の一部に低下が見られる>というレベルだ。

まず、車椅子と介護用ベッドをレンタル。月曜から土曜までは朝30分程度、ヘルパーに来てもらい、着替えや朝食の介助を受ける。週に3回、デイケアに通ってリハビリ。介助を受けながら入浴まで済ませる。ここまでで費用は19万3千円。要介護2の支給限度額は標準的な地域で19万6160円(地域の人件費や物価によって加算あり)だから、限度額いっぱいだ。自己負担は1割の1万9300円。

しかし、一人暮らしだと食事が心配だ。毎食自炊は無理だし、好きな総菜ばかり買っていたのでは栄養も偏る。平日はバランスの取れた夕食の宅配を使えば月1万800円。ここまでは、同居の場合もあまり変わらない。仕事をしていれば日中、親は一人になるし、食事の時間やメニューも家族と合わないこともあるからだ。掃除・洗濯は2時間6300円の代行サービスを月4回頼むことにしよう。

遠距離介護で心配なのは、緊急時。家の中でまた転んで動けなくなったら──。一定時間トイレのドアの開閉がないとセンサーで察知し、駆けつけてくれる民間の見守りサービスを利用すると、月額約4千円。ここまで総額5万9300円だ。

月に一度、様子を見に行くとすれば往復の交通費もかかる。東京・福岡間だと航空会社の介護割引を使って4万2千円。しめて10万1300円となった。

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