「褒めて育てる」でわが子を追い詰めた母の気づき 息子は「僕を捨ててね」とまで言った
「小さな成功体験を積むために」褒める対応に
「褒めていたつもりが子どもを追い詰めていた」と教えてくれたのは、あるお母さんでした。そのお母さんには小学5年生の長男がいます。登校しぶりが始まったのは小2のとき。ある日、玄関で泣き始めてから学校へ行かなくなりました。なんとか登校ができるようにとお母さんは厳しく接したり、励ましたりしましたが、まったくダメ。
最後の手段として「褒める対応」に徹したそうです。1時間でも、2時間でも学校へ行った日は褒める。教室に入れなくても学校へ行くだけで褒める。学校へ行けなくても宿題をしただけで褒める。「小さな成功体験を積むために」と必死で褒めたそうです。できることを褒めるのが、悪い方向に働くと思う人はすくないでしょう。また、このような手法を推奨する教員や支援者も多くいます。
ところが息子さんの状況は悪くなりました。褒められても気分はよくならず、逆に強烈な自己否定感を身にまとってしまったのです。学校へ行こうと思うと、前夜から腹痛に見舞われ、泣き出す。そして、あるとき、こうこぼしたそうです。
「次に子どもが生まれたら僕を捨ててね」。