クルマの「安全運転支援」脳科学も生かす最前線 マツダは「副操縦士」を開発、ホンダは独自の研究

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高度運転支援技術の開発にホンダが注力するのは、事故防止への貢献だけでなく、商品としての競争力を持たせようとしているからだ。ホンダ安全企画部の高石秀明エグゼクティブチーフエンジニアは「1人ひとりに合わせた安心を提供していきたい。人の能力とシステムが連携した新しい価値を見いだしていく」と強調する。

ホンダは電動化戦略において、2050年までに世界で売る新車をすべて電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)にする「脱エンジン」目標を掲げている。一連の運転支援技術の開発は、自動運転技術と合わせて事業戦略におけるもう一つの大きな柱という位置づけで、新たな差別化要因として訴求したい狙いがある。

高度技術につきまとうコスト

今後は技術開発に加えて、いかにして高度な運転支援技術を普及させていくかが大きなハードルとなる。接近対象の感知や道路環境の情報を収集するセンサー、カメラといった高性能なセンサー類はコストが高く、その分だけ車両価格は高くなりやすい。一方で事故を減らすためには、比較的価格の手頃なコンパクトカーや軽自動車など、販売台数が多い車両に技術搭載を進めることが期待される。

高石氏は「普及しないと意味がない。(市場が)新しい技術をどう受けいれてくれるか、自動運転技術と併せて選択肢がある中で受容性、可能性を見定めていきたい」と指摘する。ホンダとしては、人気車種への搭載でスケールメリットによる部品コストの引き下げも見込む。

極論を言えば、システムが運転操作をすべて行うレベル4やレベル5の自動運転技術を普及価格帯の車両で確立できれば、ヒューマンエラーはなくなり、交通事故は激減するだろう。しかし、それには長い時間を要する以上、自動車各社はまず高度な安全運転支援技術の有用性を消費者に広く訴求し、需要を喚起していくことが欠かせない。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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