クルマの「安全運転支援」脳科学も生かす最前線 マツダは「副操縦士」を開発、ホンダは独自の研究

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AIなどの分析に基づき、眠気やふらつきがあったり、ステアリングやブレーキの操作などから脳の機能低下を感知したりした場合には、運転手にアラームで警告する。それでも改善されない場合、あたかも「副操縦士」に交代するかのように、運転支援機能が作動する。自動的に減速し、ハザードランプやホーンで周囲の車に知らせながら停止する。

現状では、居眠りやドライバーの意識消失(いわゆる失神)は最短で2秒で検知が可能だという。一般道では同一車線内で停止、高速道路では路肩に退避して停止する。車内には、緊急時に同乗者がシステムを作動させるためのスイッチも備える。

異常の「予兆」を検知する

マツダはこのシステムを2022年に発売する大型SUVの新型車から導入予定だ。2022~2023年にかけて発売予定の「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」のうち、まずは日本市場向けの車両が対象となり、海外向けは現地の法規制に対応してからになるという。これらの車種はマツダの最量販車種「CX-5」よりもサイズが大きく、上の価格帯に位置する。

開発を担ったマツダの栃岡孝宏主査は「近年は高齢ドライバーの疾患や体調急変による事故が先進国では大きな社会問題になっている。高齢者が少しでも長く安心して運転できる環境を作りたい」と話す。

安全に運転ができる、いわば「運転寿命」の延伸を目指すのは、運転をやめた人は認知症や要介護認定のリスクが高まるというデータがあるからだ。免許返納をした途端、交通手段がなくなるという地方の厳しい状況も念頭にある。

マツダは2025年をメドにこの「副操縦士システム」の技術を進化させ、ドライバーの異常の「予兆」を検知することを目指す。運転操作や頭部の動きに加え、視線の挙動などから総合的に脳の機能低下や異常に気付けるようにするという。ポイントは脳科学を軸とした医学的知見の活用だ。

ドライバーは脳機能が正常なときは路上駐車の車両やミラーなどに意識的に視線を配る。医師との共同研究の結果、脳機能に異常が生じると、明るい場所や目立つ動きなどに無意識に視線が偏ることがわかった。また、脳の機能低下の予兆が最も顕著に現れるのが視線の動かし方であることもわかってきた。

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