「居心地の良さを求めて」女装バーに集まる人たち 新宿二丁目「女の子クラブ」の大晦日を取材

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コロナの流行は、ほかの飲食店同様に、女の子クラブの経営にも大きな影響を与えた。女の子クラブには、姉妹店として、同じ雑居ビル2階にジェンダーフリーバー「フリーメゾン」がある。

飲食店への休業要請などの影響を受けた2020年春、クラウドファンディングで、2店舗への支援を募った。「いつでも帰れるみんなの実家 女の子クラブを守ろうプロジェクト」は、243人の支援者から総額約244万円を集めた。

クラファンサイトには、「また時間みつけてパワーもらいに行きますね」など、支援者のコメントが残っている。いかにお店が愛されているかがわかる。

性的少数者に理解ある職場を探している大学生

マヤさんと朝〆さんに話を聞いていると、2021年が残り10分になった。

店から振舞われた乾杯用のシャンパンが客に配られ始めた。準備が終わると、テレビ画面の表示に合わせて、カウントダウンが始まる。「サン、ニイ、イチ」に続き、「おめでとう!」の声が響いて、客たちが乾杯し合った。

その後、すかさず日本酒の鏡開きに移る。スタッフが木槌を持って、たる酒に「せーの」と振り下ろすと、周囲に派手に日本酒が飛び散った。「キャー」という悲鳴がおさまると、香り高い日本酒が振舞われた。

店内のボルテージが最高潮に達する中、アキさん(仮名・22歳・大学生)に話を聞いた。

新年を迎えたお祝いに、日本酒の鏡開きが行われた(2021年12月31日/富岡悠希撮影)

アキさんは戸籍上は男性だが、性別に違和感を抱き、女性への性別変更を考えている。女性ホルモンの摂取はすでに始めており、将来は手術も視野に入れる。

女の子クラブには2カ月ほど前に初来店し、すっかり気に入ったという。

「みんなが自分自身をきちんと見てくれるから、自分を出せる場所にできる」

大学では共用トイレを使用。就職活動では、性的少数者に理解ある職場を探している最中だ。

外では理解を得られている部分がある一方、性別変更の話は両親には打ち明けていない。

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