「ハズレを引いた人生」が楽しくて仕方がない訳 「人生を選べる幸せ」りょかちのライフシフト論

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マルチステージの人生には共感しますし、やりたい人はたくさんいます。でも、本書に書かれているように、社会的な仕組みがまだできておらず、ありうる選択肢が見えない。今回『ライフ・シフト2』を読んで、あらためて今の社会の生きづらさへの思いを強くしました。本書がたくさん読まれて、実践者の声が広がり、社会が変わればいいと思っています。

仕事をしてこそ学びたいことが生まれる

会社員時代の私の仕事は、PM(プロダクトマネジャー)やマーケティング担当でしたが、それはジェネラルスキルを求められるものでした。

企業でジェネラリストとして活躍するには、何事も高いレベルでできるか、あるいは、ある程度何でもこなしつつその人にしかできない強みを持っているかが重要だと私は考えていて。でも、私はそうではありませんでした。何かしら特化したスキルなどを得なければ、これ以上、ジェネラリストとして活躍できないのではないかと感じていました。

私の周りではキャリアをある程度積むにしたがって、MBAなどの学校に通ったり、海外に留学する人がでてきました。当初は1プレーヤーとして仕事をしていたものの、マネジャーになって、もっとビジネスを勉強しなければと気づきを得て学校に行くとか、ビジネスは勉強したけれど、もっと社会学的なことを学びたいとか、対人コンプレックスを克服するために心理学を学び始めるとか、仕事をしたからこそ学びたいことが生まれてくる。そんな人が多かったのだと思います。

私の場合は、サービスやプロモーションなどの企画を行う仕事特有の状況がありました。対消費者/対個人サービスはとくに、今の時代のユーザーのニーズに合うことが求められるので、サービスを使う人に近い、新人であるとか、若いといったことが価値として認められやすい世界だったのです。最初は、自分の若い視点をアドバンテージとして感じていました。

しかし、若さから得られる新しい視点は、キャリアを積むにつれて薄れていくものです。そのとき、自分に得意なのは何だろうか、自分は何を極めたかったんだろうかと改めて問いに向き合うことになり、もう一度勉強したいというフェーズに入りました。

それなのに、会社員としてフルに働き続けるのは、日々、止まることのない電車に乗りつづけているような感覚を覚えていました。電車を降りて学びたいのに、延々と働き続ける。そこでオンラインの学習システムや、夜間のMBAなどを活用する人もいるわけですが、やはり両立は簡単ではありません。

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