iPhone6、「大画面」に秘められた真の狙い クック世代のアップルはどこを目指すのか
iOSのディスプレーサイズ戦略は、iOSそのものの開発方針と密接に結びついている。初代iPhoneにおいて、画面解像度は320×240ドットであり、その後iPhoneは、その整数倍もしくは縦方向の延長で進んできた。iPadについても、1024×768ドットとその整数倍であり、iPhone用アプリを動かす場合にも、無理に全画面拡大することなく、周囲に黒枠をつけて動かしている。
こういうアプローチを採った理由は、アップルという1社が提供する製品であり、アプリ開発上の一貫性を維持しやすいからだ。ハードウエア的な負担も最低限で済む。
あの批判も、アップルにとっては「想定内」
それに対しAndroidは、最初期から多様なディスプレーサイズと縦横比を許容してきた。アプリ開発上も、そうした違いを意識した開発とデザインが望ましく、そのための仕組みもある。一方で、開発者は多様な端末への対応が必要であり、難易度が上がりやすい。特に、スマートフォンとタブレットでまったく同じようにアプリが動く関係上、相互での動作状況の確認も必要だ。
また、OSのアップデートが、端末メーカーだけでなく、携帯電話事業者の判断も絡んで行われる関係から、iOSに比べ最新版の利用率が低く、この点も動作確認の面ではマイナスだ。
こうしたことを、アップルは盛んに「不連続性」(フラグメンテーション)と呼んで攻撃してきた。だからこそ、今回iPhone 6でディスプレーサイズと解像度を変えたことで「言うこととやることが異なる」と思われたわけだ。
だが、そんなことは当然アップルもわかっている。複数のアップル関係者は、今回の変更が長く、慎重に準備されてきたものであると筆者に語っている。「2007年にiPhoneが出た時、『こんな画面がでかい電話が使えるか』と批判された。今のiPhone 6もそのようなもの。すぐに収まる」。
アップル関係者がそういうのは、なにもポジショントークというだけではない。スマートフォンはもはや電話ではなくなっている。アプリやウェブの利用はもちろん、コミュニケーションの形としても文字や写真の利用率が上がっており、情報量の増大とつながる。全員が5.5インチのiPhone 6 Plusのサイズを求めるわけではないだろうが、全体の中央値は、4インチよりも上にずれていく傾向にある。
もう一つ指摘できるのは、デバイス調達戦略上の問題だ。
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