28歳、経理から営業に転職して再び悶々… 30カ国の旅行経験。得意な「地理」生かしたい

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まず現在、28歳とのことですから、一般的にはいわゆるポテンシャルで採用をされる年齢では決してありません。言い換えると、「何がしたい」という基準ではなく、「何ができるか」をベースに本来は仕事を選ばないといけない年齢です。

そう考えますと、2年間、営業をしているにもかかわらず、営業スキルはなく、また多数の海外渡航歴だけでなく、実際、2年間海外で仕事をされているにもかかわらず、「多少」の英語力しかないといった状況では、採用する側から見ると、「仕事を通じてスキルを身に付け、成長し、同時に会社に貢献する力」に疑問が湧いてしまいます。

しかも卒業後、最初の仕事というわけではなく、社会における仕事を実際に3年間、経験した後にYさん自らが選んだ仕事において、結果を出せていない状況ですので、一般的には今までの職務経験に関しては非常にシビアに見られることになるでしょう。

30カ国も旅して、なぜ英語ができない?

また、地理が得意で海外に興味があるので、といった切り口で次の仕事を探されようとしていますが、これも採用者はYさんの「得意」分野であるとは考えてくれないと思います。「得意である」と称することは当然できますが、それが採用において評価されるかというと難しい、ということですね。

なぜ難しいかというと、30カ国回ったのは旅で回った「だけ」であり、その経験を通じて英語だけでない語学力を身に付け、数カ国語を駆使して仕事ができる、または知られていない海外情報を日本に配信する事業を立ち上げた、などという、「30カ国回らなかった人」にできないような、仕事に生かせるスキルや経験をきちんと形に残せていないからです。

そのため、客観的評価の対象になりにくく、むしろそれだけ海外歴があるのに、なぜ英語くらい完璧でないのか?という疑問のほうが先立ってしまいます。つまり、それは得意分野ではなく、単なる趣味ですよね?と評価をされかねないのです。

また、営業職を選んだにもかかわらず、製品に興味が持てないという理由で、営業の基本である自社と自社製品やサービスの完璧な理解を行うことを放棄している状況とも見えますので、営業のプロという前に仕事への取り組みや姿勢面でも疑問を持たれかねない、非常に厳しい状態にあると思われます。

営業の前にされていた経理での経験や実績がわかりませんが、仮にそこでも同じような状況、つまり会計や税務などのスキルについても大した取得ができていない状態である場合は、次回、転職する際には過去5年間以上、社会人としての職業経験があるものの、スキルはほぼ新卒同様、として見られてしまう可能性も否定できません。

次ページこのままでは「永遠の夢追い人」
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