Xperia Z3の最強カメラがiPhone6に劣る点 ベルリンからプラハへ、製品レビューの旅<3>

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このあたりを上手に処理しているのがiPhoneのカメラで、かなりの低照度環境下では”ギブアップ”といった絵を出すこともあるものの、多くの場面で納得できる絵を出してくる。最高ではないけれど、納得はできる。その納得できる写真を出すヒット率が高い。

Z1の時には、とりわけ料理写真が不味く見えるなどの不評もあり、「Z2ではそうした点を改善しました、Z1も調整を再度かけました」と説明をされていたのだが、個人的にはピンと来なかった(さほど変化しているような印象を受けない)ため、ソニーへの取材時にはカメラの画質が悪いという話を毎度持ち出していたぐらいだ。

ところが、Z3ではレンズが良くなった、撮影機能が増えた、映像処理の改善で最高ISO感度が2倍になったといった点が強調されているだけで、写真としての質については言及がない。実はZ2がリリースされる際にも「料理が美味しく撮れるようになりました」というので評価したことがあったのだが、いまひとつ何が変化したのかわからない。

そんな状況であったため、Z3で画”質”改善が大幅にされるとは思っていなかったのだ。ところが期待していなかっただけに、大きく進歩していることに驚いている。くだんの「美味しい料理写真」を撮るために最高の製品とまでは言えないが、「スマートフォンで最高クラスの画質」と胸を張れるところまで来ているとは思う。

せっかくの優れたカメラなのだから……

ベルリンのソニーセンターにて

ただし、旅の前半を終えて”これだけは書いておこう”とメモしていたことがある。それはせっかくの優れたカメラ機能を、複雑さが台無しにしているように思えることだ。

Xperia Z1以降、前述したように、スマートフォンとしてはかなり大きなイメージセンサーが使われており、積層CMOSセンサーに搭載された映像処理回路と独自開発ソフトを用い、本物のデジタルカメラに近い高画質処理が行える。Androidのカメラ機能にはいろいろ制限もあるが、その中で"カメラらしいカメラ"とするためのベストな構成を採っている。ところが、この良さをユーザーに骨までしゃぶって欲しいのか、やや複雑な使いこなしを求める場面もある。せっかくのカメラ機能。ユーザーに対してもっとシンプルに”使いこなし”をさせるべきではないだろうか。

たとえば、シーンセレクトでその場に適した撮影モードを選ぼうとすると、フルオートのモードからマニュアル撮影に切り替える必要があるが、さらに条件まで選ばねばならない。2000万画素ではなく800万画素にしなければ、シーン選択をマニュアルでできない。

もちろん、天気の良い……すなわち光の条件が良い時は2000万画素で撮影した方が細かな情報まで見通せるし、暗い場所では画素数を減らしたり、シーンを自分で選択する場合にはまた変更し……と色々と使い比べて見たが、このような使いこなしを求めるのは難しいだろう。

だからこそ、この撮影モードは”マニュアル”であり、普段はほとんどの設定を自動(”プレミアムおまかせオート”という仰々しい名前が付いている)化したモードで撮影してね……ということなのだろう。実際のところ、マニュアルモードで使いこなそうと思わない方が、良い結果が出ることさえある。

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