松浦茂樹氏がスマートニュースでやること グローバルニュースアプリへの挑戦

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「メディアとは膝詰めで話をしていくことが大切」と語る松浦氏(左は筆者)

ハフィントンポストでは「編集長」という肩書だった松浦氏を招き入れたことから、スマートニュースがオリジナルコンテンツを作る編集部をつくるのか、という観測も一部で広がった。しかし、その考えはまったくないという。

「ハフィントンポストでも、私は原稿の編集をやっていません。スマートニュースは、これまでにソチ五輪、W杯で特設チャンネルをつくりましたが、こうしたことをメディアの皆様と話をしながら、どんどんやっていく。そうした企画をするのが私の役割です。藤村(厚夫・執行役員)もこれまでやってきたことですが、メディアとは膝詰めで話をしていくことが大切。一次コンテンツをつくっている人たちへのリスペクトが必要だと思っています」。

東洋経済オンラインが得意としているのは、経済、ビジネス関係のニュース。経済関連で何か事件が起きた場合に、どのような特設チャンネルができそうか、といった話をしていると、次のように語った点が印象的だった。「ハフィントンポストは経済に強いわけではないので、ぜひ応援してください。お願いします」。この一事をみても、円満な転職であったと推察できる。

これから力を入れること

スマートニュースは米国市場を皮切りに、グローバル展開を目指していく。10月2日には、「SmartNews2.0」を日米で同時にリリース。日本だけでなく、米国の地元メディアともパートナーシップを組んだ上でのリリースだ。米国におけるビジネスモデルも、日本と同じ。提携メディアが配信する記事のうち、ソーシャルメディアで話題になっている記事をロボットが引っ張ってきてスマートフォンの画面上に整理して掲載する。いくつかのメディアとは独自のタブであるチャンネルを設置する点も、日本と同じやり方だ。

今後、スマートニュースが世界展開する上では、松浦氏のコンデナスト、ハフィントンポストにおける経験が役に立つに違いない。「スマートニュースは、日本から海外へ打って出ていくという点でも、自分にとっては新しいチャレンジです」。

スマートニュースでも、短期間で成果を上げ、またすぐに転職するのだろうか。「これまでのミッションが低かったわけではないですが、スマートニュースでのミッションは、すぐに達成できるようなものとは思っていないので、結果的に長く勤めるかもしれません。でも、それは今の時点では正直言ってわかりません」。

ミッションの詳細は明らかにしていないが、"世界最大のユーザー数を誇るニュースキュレーションアプリになる"くらいの大きなことを考えているのかもしれない。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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