来年2月からインサイダー規制緩和、証券取引所のウェブページに載れば取引自由に
インサイダー取引規制が来年2月1日から緩和される。これはインサイダー取引を規制している証券取引法施行令と内閣府令が一部改正され、公布されたことによる。その内容は、今までの「12時間ルール」の適用が緩められるものだ。
証券取引法では会社関係者など「重要事実」を知りうる者が、事実が「公表」される前にその会社の株式等を売買することが禁止されている。ここでの公表とは、従来は新聞、放送、通信社などの2つ以上の報道機関に重要事実を公開し、それから12時間が経過しなければ公表とはならなかった。これを12時間ルールと称している。
今回の改正では、上記12時間ルールはそのままに、加えて【1】上場会社が需要事実を証券取引所に通知し、【2】取引所は通知された重要事実をインターネットを通じて自らのホームページに掲載し「公衆縦覧」を行えば、「公表」されたものとするとした。
要は、当該会社情報が証券取引所のホームページに掲載された瞬間から、この情報に関しても売買自由となるということだ。
東証、大証、JASDAQなど各取引所は、監督官庁の金融庁と協議しながら、この政省令の施行日2004年2月1日から、これを実施すべく準備に入っている。公表の条件の中に、発表内容の改ざん等不正行為が行われないようなセキュリティ対策と、7日以上の継続公開が求められているので、対応したシステム開発が必要となるのだ。
一方で東証などは、上場企業に対しても、この規制緩和が実施される来年の2月1日以降、企業のホームページの情報掲載も発表と同時に行う(従来は12時間ルールに抵触してできなかった)ことを要請している。
こういった事態が進行する中で、インターネット環境下ではすでにある程度有名無実化していた12時間ルールが、一層無意味なものとなっていくだろう。
【百瀬敏昭記者】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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