ビール業界を襲う“三重苦”、猛暑効果も吹き飛ばす大逆風
記録的な猛暑が続くにもかかわらず、ビール各社が苦戦を強いられている。
「消費マインド冷え込みに加え、メーカー、小売りなどが価格戦略に出ている。しばらくはデフレスパイラルが続くだろう」。8月中旬に開かれたキリンホールディングスの中間決算説明会。三宅占二社長は国内ビール類事業について厳しい見解を示した。
キリンは今期のビール類の売上高予想を、期初計画の前期比1・5%減から同5・5%減へ下方修正。アサヒビールも従来計画を引き下げた。両社とも悪天候が続いた上期の未達分だけでなく、夏場を含む下期についても販売計画を見直している。
猛暑効果で7月のビール類総市場が前年同月比2・1%伸びたことを加味すると修正値を上回る可能性はあるが、それでも勢いには欠ける。
下方修正は珍しいことではないが、気掛かりなのは苦戦の要因。これまで市場の牽引役だった第3のビールに、息切れ感が出てきている。依然として販売数量は伸びているものの、両社とも伸び率が急速に鈍化している。
再燃する値下げ合戦
キリンとアサヒの頭を悩ませるのが、ジリジリと進む値下がり傾向だ。もともと第3のビールは安いことで人気に火がつき、今や発泡酒市場の倍近くまで成長している。有望市場となれば、シェア争いは激化する。各社が手を替え品を替え大量に新商品を投入した結果、ブランドが乱立して差別化が難しくなった。