国産旅客機「MRJ」は地方の観光業を救うか 三菱商事などが運航受託会社を設立検討
国土の広い米国では大手航空会社による膨大な数の国内定期便が日々飛んでいるが、乗客数の少ないローカル路線の多くは専門の運航受託会社が実際の運航業務を担っている。委託者である大手航空会社のブランドで運航するので知名度は低いが、スカイウェスト航空やメサ航空、トランス・ステーツ航空などが代表的な企業だ。
これらの運航受託会社は、大手航空会社とウェットリース契約(航空機と乗員をセットで提供するリース契約)を結び、機材の調達から機内サービスを含む運航業務、整備までを一手に担う。
最大手のスカイウェスト社を例に取ると、ユナイテッド航空やデルタ航空、USエアウェイズ、アメリカン航空など複数社からローカル路線の業務を受託。2万人の従業員と700機以上の小型機を有し、1日平均4000近くもの便を運航している。
大手航空会社がこうした企業に運航業務を委託するのは、経済性の問題からだ。ローカル線は輸送人員が限られるため、固定費の重い大手航空会社では採算が合いにくい。運航業務に特化したローコストの運航受託会社を活用することで、路線は維持したまま、乗務員や機材・設備に関わる固定費を軽減できる。
一方、受託側は長期契約に基づく安定的な収入が入り、受託便数が増えれば増えるほど、機材調達などで規模のメリットを発揮できる。
自治体などと連携模索
検討協議会が実現の可能性を探るのは、いわば、米スカイウェストの日本版。興味深いのは、米国のような大手航空会社(日本で言えば、全日本空輸や日本航空)からの運航受託のみならず、各地の自治体や地域経済界との連携も目指している点だ。
「アジアからの直行便で訪日観光客を呼び込めれば、地方の活性化につながる。これまでは航空会社にとって採算が合わずに就航が難しかったが、運航受託会社の活用によって、そうした路線開設が実現できる可能も出てくる」と、検討協議会の佐髙圭太・専務理事は話す。
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