iPhone6、通信3社が掲げる戦略とは? 買い替えユーザー獲得へネットワーク強化

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9月19日、米アップルの「iPhone(アイフォーン)6」と「アイフォーン6プラス」が日本で発売された。写真は東京・表参道のアップルストアで新機種を手にした男性(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 19日 ロイター] - 米アップルの新型スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)6」と「アイフォーン6プラス」が19日午前8時、日本で発売された。

画面サイズは4.7インチと5.5インチと、5シリーズの4インチから大型化。画像の質を高めたのが特徴だ。日本で取り扱うNTTドコモ<9437.T>、KDDI(au)<9433.T>、ソフトバンク<9984.T>の3社の料金体系が横並びとなるなか、ネットワークの優位性をアピールすることでユーザー獲得につなげたい考えだ。

アイフォーン6は割賦払いが終わった旧アイフォーンユーザーの買い替え需要が中心とみられ、4s/5ユーザーを多く抱えるauとソフトバンクは他社への流出を警戒、キャンペーンなどによるユーザーの囲い込みを強めている。

一方、まだ割賦契約期間中の5s/5cから参入したドコモは攻めの姿勢を見せるが、新料金プランへの一本化が不安要素だ。機種変更の際、旧料金プランのユーザーは端末代金の割引を受けられず、新料金プランへの加入を事実上強制される。auとソフトバンクは乗り換えキャンペーンを旧料金プランでも受け付けることで、新料金プランに移行したくないユーザーの取り込みを図る。

ドコモの加藤薫社長は、新料金プランへの一本化について「新料金は多角的な面を持っており、お客様や家族単位で自由に設計できる。1つの料金と言えば1つだが、多角的な面を持っているので、その辺をうまく活用していただきたい」と理解を求めた。

各社ともユーザー獲得の決め手を欠くなか、下取りプログラムなどキャンペーンの調整は前日まで続いた。だが、多くは他社への「追随」にとどまり、積極的に仕掛ける動きは影を潜めた。料金で差をつけるというより、料金で差つけられたくないという意識が垣間見えた「競争」となった。

「6」の記憶容量16ギガバイトモデルは、新規契約と「番号継続制(MNP)」を利用して他社から乗り換える場合、3社とも端末は実質ゼロ円で購入できる。

KDDIの田中孝司社長は「auのネットワークは(キャリアアグリゲーションやWiMAX2プラスなどで)全部入り。自信があるので、ここは訴求したい。料金競争については、いま下取りの話が結構出ており、他社がいろいろ打ってくるなら相応に対抗していこうかとは思っているが、われわれ自身は一番の差別化ポイントを訴求していきたい」と述べ、あくまでネットワークで競争する意向を示した。

各社の下取りキャンペーンをめぐっては、「歪んだ競争」と批判を浴びたキャッシュバック競争の再燃との見方も出ている。これについて、ソフトバンクの宮内謙副社長は「ちょっと金額的に大きくなり過ぎているきらいはあるように感じるが、下取りがベースなので単なるキャッシュバックとは違う」と述べ、批判をかわした。

*情報を追加して再送します。

 

(志田義寧 村井令二 笠井哲平 編集:山川薫)

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