米国のイラン制裁強化法、金融取引まで制裁の対象に、原油輸入が止まる事態も
オバマ大統領は「核のない世界」を唱え、09年のノーベル平和賞を受賞した。オバマ大統領の提唱は、米ロなど「公認核兵器保有国」の核を全廃することではなく、イランと北朝鮮の核廃絶を狙ったものだ。
バザール(市場)での売買のように、延々と続く米国とイランの駆け引き。見ている側もうんざりしてくるが、いよいよ一つの節目を迎えようとしている。
外国に選択を迫る米国
イランの核開発に対する国際社会の制裁は新たな段階に入っている。展開によってはイランへの金融制裁発動=イラン原油の輸入停止などの事態も想定される。
6月9日、国際連合はイラン制裁の追加措置を含む安全保障理事会第1929号決議を採択した。
7月1日、オバマ大統領は米議会が可決したイラン制裁強化法に署名し、国連制裁を上回る米国独自のイラン制裁が発効した。米国はEU、カナダ、オーストラリア、日本などに独自の追加制裁を求めている。
これを踏まえて、EUは7月26日に独自制裁を実施した。初めてエネルギー分野の制裁が盛り込まれ、石油精製やLNG(液化天然ガス)製造にかかわる新規投資や技術移転が禁止された。
7月に来日したデービッド・コーエン米国財務次官補(テロ資金対策担当)は、日本のメガバンク3行に、米国独自の金融制裁への協力を直接要請したという(日本経済新聞7月15日付け)。米国のイラン制裁強化法は、「外国の金融機関に対して、米国をとるか、イランをとるかを迫る」(関係者)内容で、金融機関の為替取引契約(コルレス契約)まで対象にする厳しいものだ。それが発動されると、世界の金融機関で「イランをとる」選択をするところはないはずだ。