米国のイラン制裁強化法、金融取引まで制裁の対象に、原油輸入が止まる事態も

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 今回は聞き流したメガバンク3行だが、米国が強硬に選択を迫れば、その結果は明らかだろう。金融取引ができなくなることで、イランとの貿易は止まり、原油輸入も止まる。

これまで、米国議会は何度もイラン制裁法案を可決しているが、今回は一歩踏み込んだ内容になった。

まず、「イランの国内石油精製能力の維持・向上する100万ドル以上の物資・技術等を供給する者、イランに100万ドル以上の精製石油製品を供給する者」を新たな制裁対象にした。

イランは世界有数の原油産出国だが、国内の石油精製能力は貧弱だ。原油価格上昇やイラン国内の低金利政策でイランの経済的発展は著しい。車の保有台数が増え、真新しい輸入車が多くなっている。ところがイラン国内のガソリン精製能力は需要の30%程度といわれ、大半を輸入している。ガソリンの輸入が止まれば、国内経済への打撃は大きい。

さらに、制裁強化法では、米国政府等への主な義務づけ条項として、

(1)米国政府の調達契約に入札しようとする企業に対し、制裁の対象になりえる行為を行っていないことの証明を求める、

(2)米国州・地方政府および一定の投資家が、イラン・エネルギー部門に関与している外国企業からの出資引き揚げを可能とする法的枠組みを提供する、

(3)米国人・企業による制裁違反による刑事罰を実質的に強化する、

(4)米国銀行に対し、イラン革命防衛隊との取引関係にある外国金融機関、または、イランによる核開発等に助力する外国金融機関との金融取引を停止する、という項目を入れている。

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