HV、EV、燃料電池車、どれが本命か? 仏自動車部品大手ヴァレオの幹部を直撃

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HVからPHV、EV、直噴ターボからFCVまで、次世代のエコ対応は、どれが本命になるのか(写真はトヨタ「SAI」、撮影:今井康一)
二酸化炭素削減など環境規制の強化や、エネルギー価格の高止まりを受け、エコカーの開発競争が世界中で加速している。日本で高い人気を誇るハイブリッド車(HV)など、さまざまな低燃費化技術が登場しているが、はたしてどのようなエコカーが中長期的に主導権を握るのか。フランスに本拠を置く自動車部品大手・ヴァレオで、動力関連部門の研究開発を統括する、ミシェル・フォリシエ・ダイレクターに聞いた。

――直噴ターボエンジンやHV、電気自動車(EV)など、自動車の動力システムは非常に多様化している。中長期的にどのような技術が導入されていくか。

自動車各社がさまざまな低燃費化技術、排出ガス削減技術に力を入れているのは、世界各国で規制が厳しくなっているからだ。従来のガソリンエンジン、ディーゼルエンジンだけでは規制をクリアできないために、さまざまな技術が開発されている。

動力源に関しては、今のところ、確かに、日本勢を中心としたHVと、ドイツ勢を中心とした直噴ターボという、2つの大きな流れがある。ただ最近では、日本勢もターボを強化しており、逆にドイツ勢もHVなど電動システムに力を入れている。技術ロードマップでいえば、2020~25年ごろには、一定の方向に収斂していくだろう。基本的にはエンジンそのものの改善と、ハイブリッドの利用が進むことになる。25年までの燃費改善への寄与は、エンジン改善とハイブリッドの利用が半分ずつ寄与することになる、と見ている。

 ただ、すべての自動車が、同じ技術を使うわけではない。自動車の大きさ・重量と、許容されるコストに応じて、複数の技術が用いられることになる。

大型車はPHV、小型車は直噴ターボ

まず、Eセグメント(大型高級車)以上や、SUV(スポーツ多目的車)など、最も大きく重いクラスは、エンジンだけで規制が求める燃費を達成するのは難しい。一方で燃費改善に伴う追加のコスト・価格に対する許容度は高い。そのためこのクラスは、電動技術を大幅に取り入れた、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)が中心になろう。高電圧・大容量の充電池を積み、強力なモーターで走行する。

対照的に、最も小さいAセグメント(軽やコンパクトカー)、Bセグメント(小型車)は、小排気量の直噴ガソリンエンジンを基本に、簡易型ハイブリッド(マイクロハイブリッド)が組み合わされる。マイクロハイブリッドは、減速エネルギーを発電機で電気に変えて蓄え、電装部品の駆動に使うもの。現在の電装品に用いられている12ボルトの低い電圧を使うため、走行そのものには使えないが、コストが低い割には燃費改善効果が高い。スズキの「エネチャージ」など、すでに実用化されているが、非常に興味深いものだ。

またこのクラスでは、市街地での短距離移動用途として、EVが利用される可能性もある。

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