アウディが虎ノ門に“オフロード”を作った ヒルズの目の前に突如現れた試乗施設
今年6月、大手デベロッパーの森ビルがオープンしたばかりの商業施設、「虎ノ門ヒルズ」(東京都港区)。その道路を挟んだ向かい側に、小さな“オフロードコース”が現れた。
その正体は、ドイツの高級車メーカー・アウディが8月30日に開業した試乗施設、「アウディ・クワトロパーク」だ。来年春までの期間限定であり、同社の4輪駆動システム「クワトロ」を搭載した車に乗り、その性能を、訪れた客に体験してもらおうという試みだ。ディーラー(販売店)での取り扱いも少ない、最上級モデル「A8」やスポーツモデルなどの路上試乗もできるという。
「販売の拠点という考えは全くない。子どもから大人まで、車がいかに進化し、いかに楽しいものなのか、ということを感じてもらえる場を提供したかった」。アウディジャパンの大喜多寛社長は狙いをこう語る。若者の車離れが叫ばれる中、車を単なる移動手段としてとらえるのでなく、最新技術を体験してもらうことで車の面白さをじかに感じてほしいという。
内部では3つの仕掛けが
平屋建てのロビーを抜けると、3つの仕掛けが設置された、ちょっとした広場に出る。ここが擬似的なオフロードコースだ。3つの仕掛けとは、前後左右のタイヤが互い違いに障害物を乗り越える「ツイスト」、30度の斜面を斜めに走る「バンク」、20度の斜面を上り下りする「シーソー」。そこでは4輪駆動の悪路走破性や走行安定性が試される。
アウディの小型SUV「Q3」に乗り込み、これら障害物の上を走ってみる。すると、狭さゆえに速度を出せないこともあるが、非常に静かで、大きな揺れも感じない。30度の斜面を走ると車の傾き具合に驚くが、バランスを崩しそうな感覚もなく、安心して車に身を任せていられた。
クワトロは、「技術による先進」というスローガンを掲げるアウディにとって、重要技術である。オフロード用だった4輪駆動システムを、一般道の走行にも適した乗用車用に開発し、1980年に世界で初めて実用化した。路面の状況に応じ、4つのタイヤそれぞれに、最適なトルクの伝え方を細かく電子制御できるのも特徴。たとえば右前輪だけ溝にはまってしまっても、残りの3輪がきちんと動くといった具合だ。
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